sukekiyo、朗読、演劇、ロックが一体となった異形の芸術空間 「宙吊り娘と掃き溜めの詩」レポート!

sukekiyo、朗読、演劇、ロックが一体となった異形の芸術空間 「宙吊り娘と掃き溜めの詩」レポート! - pic by 尾形隆夫pic by 尾形隆夫

2015年12月2日、sukekiyoの二〇一五年公演「宙吊り娘と掃き溜めの詩」がの東京公演が、東京国際フォーラム ホールCにて開催された。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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大阪の御堂会館で2公演、そして今回レポートする東京国際フォーラムで1公演というスケジュールで行われた、sukekiyoの二〇一五年公演「宙吊り娘と掃き溜めの詩」。生々しい躍動感をもって繰り広げられるロックバンドのステージでありながら、シリアスなテーマを持つ演劇、前衛舞踏を目の当たりにするかのような、片時も目を離せないステージであった。彼らはデビュー直後からこうして座席制のライヴを行ってきているが、この観劇スタイルの中で、sukekiyo楽曲のドラマ性や、ステージ構築力が更に引き出されている。

ステージ中央にはソファが配置され、若い女性のマネキンや頭部だけの人形が置かれている。今回の3公演でそれぞれアートワークの異なる会場限定CDシングル「耳ゾゾ」やグッズ紹介のシュールなムービーが流れた後、愛を深く読み解こうとするような京(Vo)の詩の朗読が響く。ステージ上には匠(G・Piano)、UTA(G)、YUCHI(B)、未架(Dr)の4人が姿を見せ、匠のピアノに導かれるようにして、映画スコアのようなセッションを放っていた。そして物悲しくも美しく立ち上がるオープニング曲は“foster mother”だ。ここで姿を見せた京は白い頭巾の上に黒いヴェールを被り、さながら修道女のような出で立ちで歌う。

匠のアコギと、UTAによるボウイング奏法のヴィオリラが鮮やかに交錯する“aftermath”から、重厚なロックシンフォニーのように展開する“hidden one”へ。昨年のデビューアルバム『IMMORTALIS』の京からは、強烈なハイトーンやグロウルを控えめにした上でエモーショナルに歌う、という試みが感じられたが、生のステージでは京の歌声も、YUCHIと未架の躍動感に満ちたボトムも、一期一会の強烈なパンチを残してゆく。悲痛な歌詞が迸る“scars like velvet”では、京は床に崩れ落ちひざまずくようにして歌い切った。

危ういエロスを描く“斑人間”の直後、スレイベルを振り鳴らす京。それに誘われるようにステージ袖から姿を見せたのは、首を繋がれた異形の者だった。首を引かれるようにパントマイムし、その支配を自ら振り払って解放され、“烏有の空”の演奏の中で舞い踊る。舞踏家・工藤丈輝とのコラボだ。そして、たとえ望む世界ではなくとも現実を受け入れろ、といった意志を宿らせる詩の朗読。“in all weathers”以降はいよいよ、ロックバンドとしてのsukekiyoが牙を剥き始めるのだった。

エキゾチックなフレーズが官能と悲しみをまとめて掴み取る“celeste”、フラッシュライトの中でぶっ飛んだインダストリアルサウンドが伝える“vandal”、そして異形のファンクロックグルーヴを叩きつける“the daemon’s cutlery”と、sukekiyoの表現力がエログロな衝動をがっちり支えてゆく光景が凄まじい。座席制の、視覚的な演出が数多く持ち込まれたステージとはいえ、ロックバンドのライヴとしてのバランスは損なわれていないのである。ステンドグラスの映像とダイナミックで美しいメロディが完璧に合致する新曲“耳ゾゾ”も素晴らしく、雄大なロックサウンドに彷徨う名曲“zephyr”へと連なってゆく。

妖しく揺れるようなセッションが繰り広げられる中、ボンテージファッションの女性2人が登場して京に絡みつく。ひとりは女王役、ひとりは奴隷役で、黒いマスクで頭部も拘束された奴隷は、リード付きの首輪で引き回されたり、胸元に溶けたロウを垂らされたり、ムチでスパンキングされたりする。女王様と一緒に、京もムチを振るっていた。そのまま傾れ込む最終ナンバーは“leather field”。何ともドラマチックな構成だ。拘束され支配されているのに、何か解放的な気持ちさえ味わうクライマックスなのである。凄い。愛を求めて彷徨い、愛の支配・従属に行き着くという倒錯の過程を、濃密かつエモーショナルな全身芸術によって描き出す、ロマンチックな物語があった。

パフォーマンスが行なわれている間、歓声を上げることもなくステージを凝視していたオーディエンスは、終演の瞬間に堰を切ったように喝采を送っていた。そしてスクリーン上では、今回の「宙吊り娘と掃き溜めの詩」の続編として、来春4月に二〇一六年公演「桜肌、夢締め跡と優越の詩」が行われることもアナウンスされた。後日発表の詳細を、ぜひチェックして欲しい。(小池宏和)

●セットリスト

(SESSION)
01. foster mother
02. aftermath
03. hidden one
04. scars like velvet
05. 斑人間
06. 烏有の空
07. in all weathers
08. celeste
09. vandal
10. the daemon's cutlery
11.耳ゾゾ
12. zephyr
13. leather field
(SESSION)

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※記事初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫び致します。
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