チャットモンチー、「こなそんフェス」5千人が“踊る阿呆”と化した初日レポ!
2016.03.07 13:20
昨年、メジャーデビュー10周年を迎えたチャットモンチー主宰の「チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2016 〜みな、おいでなしてよ!〜」が地元・徳島県徳島市のアスティとくしまにて2016年2月27日~2月28日の2日間にわたって開催された。
初日27日は好天に恵まれ、屋外に設けられたフード&グッズエリアも盛況。ライヴエリアとなる建物のエントランス周辺にも開場を待つ人々が大勢詰めかけてこのフェスへの期待度の高さを伺わせた。
オープニングアクトは徳島発の2ピースバンド、白い朝に咲く。むせ返るような轟音、激しさと繊細さがせめぎ合う緊迫感に満ちた演奏、持ち時間の20分を1曲のみにすべて注ぎ込んだ。
♪歌う阿呆に観る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃそんそん! 開演時刻の13時まであと5分と迫り、唐突に阿波おどりのお囃子とチャットのふたりの歌声が響き渡ったかと思うと「スタート!」と開会宣言。直後、お揃いでグッズの法被(ハッピかもし連)を着た橋本絵莉子と福岡晃子が姿を現わした。
「来てくれてありがとう!」 「よう来たね〜。こなそんフェスを企画して1年以上経ちますが、ついに実現するときがきました!」 大歓声を浴びて声を弾ませるふたり。続いてもうひとりの進行役として、彼女たちと親交の深い吉本新喜劇座長・小籔千豊を呼び込むと、公演中の注意事項などを笑いを交えつつ3人でアナウンスした。
そして、トップバッターのBase Ball Bearが登場。“17才”からスタートしたBase Ball Bearの、図抜けて輪郭線の太いアンサンブルがキャパシティ5千人の大会場を揺らす。チャットモンチーと同じ所属事務所でデビューもほぼ同時期と、よき音楽仲間でありライバルでもあり続けている彼ら。「イベントのトップバッターに呼んでいただいてありがとうございます」と口にしつつ、出番直前にステージ袖で待機していた際にふたりと言葉を交わしたエピソードに触れ、「絵莉子に“おめでとう!”って言われたんだけど、何がおめでとうなのか、全然しっくりきてない」と小出祐介(Vo.& G.)が場内の笑いを誘った。急遽、the telephonesの石毛輝をサポートギタリストに招いての演奏となった今回、「今日はなかなかレアなセットです」との小出の言葉通り、このステージでしか観ることのできないだろうBase Ball Bearを存分に堪能できた。
続いて、徳島初上陸のレキシ。“狩りから稲作へ”では《♪縄文式土器 弥生式土器 徳島! どっちが好き?》と呼びかけたり《イナホ》でコール&レスポンスを巻き起こした。また“阿波の踊り子”ことチャットモンチーのフィーチャリング曲“SHIKIBU feat. 阿波の踊り子”ではふたりを招いて生コラボを実現。レキシいわく、この曲の衣装である十二単は実は橋本を想定して作ったとのことで、ふたりのコーラス参加も橋本が平安貴族っぽいという流れからオファーしたという。
バンドとバンドの幕間は中山女子短期大学、池乃めだか、ダイアンという小籔のキャスティングによる吉本新喜劇の芸人たちが盛り上げる。池乃めだかのステージは小籔とチャットモンチーも加わっての寸劇仕立てで爆笑を呼んだ。橋本の果敢なツッコミや得意の足技カニばさみにもがく福岡、ずっこけギャグにベタにひっくり返るふたりの姿というのもそう観られないだろう。
前半戦を締めくくるはシアターブルック。広がりを持ちながら、まっすぐに聴き手を捉える音像の立体的なスケール感、結成30年の余裕と貫禄が一音一音に宿る。「ここで徳島のみなさんにお願いがあるんよ。みんなでピースサインをしてるところが見たい」と“ドレッドライダー”の曲中に佐藤タイジが呼びかけるのに応えて、オーディエンスのピースサインが挙がる。「素晴らしいやんか、この徳島でこんな巨大なフェスができるなんて。さすがチャットモンチー、素晴らしい後輩ができました」、同じく徳島県出身の先輩としてふたりを讃える佐藤。「じゃあ、いちばん盛り上がる演奏をしてあげる。音楽に集中しよう」と“まばたき”、100%ソーラーエネルギーでレコーディングされた“もう一度世界を変えるのさ”、踊る阿呆に見る阿呆を徳島の哲学だと語り、5千人を鼓舞した“ありったけの愛”が披露された。
1時間の休憩を挟み、後半戦の一発目はドラマー小籔が率いる吉本新喜劇ィズ。メンバーは本気でバンドをやりたい新喜劇の精鋭たち+ベースに福岡晃子という異色のコピーバンドだ。まだ1曲も演奏していないうちから激しく息切れしてみせ、「吉本新喜劇ィズはRED HOT CHILI PEPPERSみたいな発音、略すときは“よっチリ”と呼んでください」と言い放ち、笑いを取るボーカルの宇都宮まき。カバー曲の歌詞の一部を必ず新喜劇の誰かの名前に差し替えるというスタイルでパフォーマンスした。
初日のライヴも大詰めとなり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの名がコールされると、2階席最後列までオーディエンスが総立ちに。刹那の静寂を突き破り、“Easter”からスタート。間髪入れず“リライト”“ソラニン”とキラーチューンを畳み掛け、場内にシンガロングの渦を巻き起こした。MCで後藤正文(Vo.& G.)が吉本新喜劇ィズの息切れネタを早速拾っては「1曲目から息切れてるわけないじゃんね」と爆笑を誘っては「なんか緊張してるように見えるよ、徳島の人たち!でも俺もそんなに明るいほうじゃないから、俺らはそういうのも否定しないよ。たぶん心の中ではダイブとモッシュでしょ?それぞれの楽しみ方で最後まで楽しんでくれたらうれしいです」と語りかける。そして新曲“Right Now”を披露。“All right part 2”では「俺たちのど真ん中を呼び込みたいと思います」と橋本絵莉子をコーラスに迎えて会場にさらなる一体感を生み出した。
ライヴアクトのトリはチャットモンチー。 「みなさんこんばんは! チャットモンチーです」 「初日に来てくれてありがとう! すごいよ、徳島にこんなに人が集まるなんてホンマにうれしいです」 橋本、福岡が感謝を伝える。恒岡章(Dr.)と下村亮介(Key.& G.)の男性サポートメンバー“男陣”、北野愛子(Dr.)と世武裕子(Piano & Syn.)の女性サポートメンバー“乙女団”と一緒に6人編成で“8cmのピンヒール”を放つ。男陣との4人で駆け抜けるように演奏した“こころとあたま”、乙女団との“ときめき”。「初めての“こなそんフェス”の記念すべき初日でこんなに成功してしまったらこのあとどうなるんやろ? “苦あれば楽あり”が染みついてるから、次は苦が来るんじゃないかって」と少々不安そうな橋本に「あったらあったでしゃあない。今日はみなさんの笑顔が見られてホンマよかった。これだけ成功したら、ちょっとした苦は受け入れましょ」と返す福岡に橋本も「わかった、そうする!」と微笑ましいやり取りを交わす。徳島でも指折りの有名連(連とは一つの踊りのグループのこと)、蜂須賀連による見事な演舞と、チャットモンチー率いる“かもし連”が客席を踊りながら練り歩き、5千人全員が“踊る阿呆”と化した阿波おどりで「こなそんフェス」初日はクライマックスを迎えた。
2月27日(土)セットリスト
白い朝に咲く
1. 日々の泡
Base Ball Bear
1. 17才
2. そんなに好きじゃなかった
3. 不思議な夜
4. 曖してる
5. 十字架You and I
6. changes
7. 祭りのあと
レキシ
1. 狩りから稲作へ
2. 年貢 for you
3. SHIKIBU feat. 阿波の踊り子
4. きらきら武士
シアターブルック
1. ドレッドライダー
2. まばたき
3. もう一度世界を変えるのさ
4. ありったけの愛
ASIAN KUNG-FU GENERATION
1. Easter
2. リライト
3. ソラニン
4. Re:Re:
5. Right Now
6. 今を生きて
7. All right part2
8. 君という花
チャットモンチー
1. 8cmのピンヒール
2. シャングリラ
3. こころとあたま
4. いたちごっこ
5. ときめき
6. Last Love Letter
7. 風吹けば恋
8. きみがその気なら