【コラム】BLUE ENCOUNT、ライヴ生存者としての挑戦のシングル『Survivor』を聴く

【コラム】BLUE ENCOUNT、ライヴ生存者としての挑戦のシングル『Survivor』を聴く

全国高校サッカー選手権応援歌に起用されたシングル『はじまり』から、ワンツーパンチのようなテンポ感で放たれる次の一手は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』オープニングテーマを表題曲に据えたシングル『Survivor』だ。“DAY×DAY”以来となるアニメタイアップ曲である。“はじまり”は、青春の情景と心象をじっくりと描き出す人間味と体温に満ちた楽曲だったが、新曲“Survivor”は一転、超スリリングかつエクストリームなバンドアンサンブルがぶっ放されるナンバーとなっている。

『鉄血のオルフェンズ』テーマ曲という前提を踏み台にして、今回のブルエンサウンドはフューチャリスティックといってもいいぐらい大胆な進化を遂げた。つまり、映像とストーリー、世界観とのシンクロを積極的に試みているということだが、この点は見事な成果を上げている。驚くべきなのは、この曲が「ブルエンのロックソング」として本領を損なうことなく、むしろバンドの表現力を新たな領域へと連れていっている点にある。

田邊駿一(Vo・G)のクソエモいライヴMCを引き合いに出すまでもなく、長い下積み時代を経てようやく2014年にメジャーデビューしたブルエンは、誰もが認める叩き上げのライヴバンドだ。アニメの未来的な仮想世界に相応しくプロデュースされた“Survivor”という音源は、嫌が応にもバンドのライヴ演奏を次のレベルへと推し進めることになる。《機械のような奴らに 支配される前に居場所を探せよ!》という歌詞の1ラインはもちろんアニメ作品の世界観に踏み込んだフレーズではあるけれど、一方で、生身のロックバンドであるブルエンから滲み出た意地の表れではないかとも思えるのだ。僕もまだ生で触れることはできていないが、ぜひ今後のライヴ演奏に注目してほしい1曲だ。

カップリング曲“HOPE”は、いかにもブルエンらしいライヴ感に満ちあふれ、メロディとハードコア性が迸る率直なメッセージソングである。この2曲を携え、彼らは対バンツアー、そして東名阪&故郷・熊本でのワンマンツアーへと続く「TOUR2016 THANKS」へと向かうことになる。10月9日(日)には初となる武道館ワンマンも控えており、「Survivor」=生存者の凱旋というよりも、生存者であり続けることへの挑戦と証明のツアーになりそうな気がしている。(小池宏和)
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