【コラム】京の詩世界に浸る――個展「我葬」を体感した

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京がDIR EN GREYやsukekiyoで書いてきた歌詩を厳選し、新たな書き下ろしも加えて発表した詩集『我葬の詩』の上巻の発表、そして、それに伴って個展「我葬」が行われたのは昨夏のこと。このたび、『我葬の詩』の下巻が発表され、京 個展2016『我葬』が4月6日から10日まで東京新宿・SPACE 雑遊で行われた。前回も、個展の概念を覆す創意工夫の嵐だったが、今回は、想像以上にそれを越える刺激が溢れていた。

足を踏み入れると、まず体に飛び込んできたのは、会場に満たされていた香り。もちろん京のプロデュースだ。そして、「昇り眼」という名の絵が壁に大きく描き下ろされ、詩集にも掲載されている88編の詩が、白い額縁に飾られ壁や天井から吊り下げられており、鑑賞というよりは体感するような距離感で展示されていた。そう、“体感”は、今回のひとつのキーワードといっていいかもしれない。会場内には、自分の「痛み」を赤い紙に書いて、おみくじのように結び付ける「我葬の木」が鎮座。その「我葬の木」を京が描いた暖簾をくぐると、京の手形のヘッドフォンを付け、様々な詩を聴き、映像を見られる「我葬の声」の小部屋が。さらに、その小部屋の前にはカラフルなゼリー状の球体が詰まった「我葬の匣」があり、ヌメッとした中に恐る恐る手を入れると、京の手型に触れられるという仕掛けも。そのように、様々なものが巧妙にリンクしながら、参加できる個展となっていたのだ。

終始流れていた映像は、プロローグやエピローグに挟まれた、全て見てこそ真意がわかるような構成になっていた。その間には、演劇実験室◉万有引力のふたりによるパフォーマンスや、尺八演奏家 岩田卓也氏の即興演奏も登場し、京の声や映像とコラボ。前回の個展のパフォーマンスは、ゲリラ的な印象だったが、今回はショウのようにひとつの流れになっていた。白い着物にお面を被り、照明やスモークを生かした狂気的な舞踏を繰り広げた演劇実験室◉万有引力、尺八はこんなにアグレッシヴに鳴らせる楽器なのか!?と驚かせた岩田卓也氏。どちらも、京の表現と共鳴し合っていた。

なお、物販にも前述した香りのルームディフューザー「elisabeth addict」や、今後も彼のライヴなどで押せる御朱印帳などといった、拘りのアイテムも。これも、会場を出ても彼のパフォーマンスを“体感”し続けてほしいという願いなのかもしれない。
現実と乖離しているようで、現実と隣り合わせの『我葬』の世界観。それが、視、聴、嗅、触という、五感のうちの味覚以外の4つを網羅して迫ってくる個展だった(いつかは味覚も体験させて欲しい)。体のあちこちに刻まれた余韻は、これからもふとした時に蘇ってきて、漫然とした日々に警鐘を鳴らしてくれそうだ。(高橋美穂)
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