【完全レポ】「やっぱりバンドはいいねっ!」藤巻亮太、大開放のツアーファイナル!

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藤巻亮太が、5月27日に全国ツアー「藤巻亮太 TOUR 2016 ~春祭編~」のファイナル公演をZepp Tokyoで開催した。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。
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●セットリスト
1. 夏のナディア
2. ハロー流星群
3. Weekend Hero
4. 回復魔法
5. 太陽の下
6. おくりもの
7. 大切な人
8. オオカミ青年
9. 月食
10. 花になる
11. かすみ草
12. go my way
13. My Revolution
14. スタンドバイミー
15. 花になれたら
16. 日日是好日
17. 春祭
Encore
1. 南風
2. 8分前の僕ら

1曲目の“夏のナディア”でその歌声がZepp Tokyoに響いた瞬間から、藤巻亮太の全身から溢れる漲るような陽性のエネルギーが、会場に集まった一人ひとりにみるみる伝わっていくのがわかった。「トーキョー!」。藤巻が声を弾ませて叫べば、お客さんからも全力のレスポンスが返ってくる。アコースティックギターをホワイトファルコンに持ち替えて、藤巻自身もステージ際まで歩み出て繰り出したロックナンバー“ハロー流星群”から、軽快なドラムにのせて《走り出せ》と衝動的な叫び声をあげた“Weekend Hero”へ。サポートメンバーに河野圭(Key)、楢原英介(G)、御供信弘(B)、河村吉宏(Dr)を迎えた5人編成を迎えた、ダイナミックな演奏をバックに、「やっぱりバンドは良いねっ!」と、心底楽しそうな笑顔をのぞかせた藤巻の歌声に、もはや迷いや不安は一切なかった。

ソロ活動をはじめて以来、レミオロメンの頃とは違う表現を求めて苦悩したきてた、その反動のように生まれた最新アルバム『日日是好日』は、藤巻本来が持つソングライターとしての才気が遺憾なく発揮された作品だ。そこに収録される“回復魔法”の朗らかなメロディも、“おくりもの”の突き抜けるようなサビの力強さも、どこかバンド時代を彷彿とさせながら、その歌唱にはいまだからこそ歌える人としての奥深さが滲み出ていた。
美しい照明に照らされてNIVEAのCMソングとしても馴染み深い“大切な人”を歌ったあとのMCでは、キーボード河野の無茶ぶりで、CMで披露している英語バージョンの「大切な人」を歌う流れに。「歌詞、あんまり覚えてない……」と言いながら、がんばってトライするも、失敗して恥ずかしそうに顔を覆う藤巻がチャーミングだった。

『日日是好日』という作品の煌めきに満ちた楽曲たちのなかに混じって、この日はレミオロメン時代の楽曲として“太陽の下”や“花になる”“スタンドバイミー”なども聴くことができた。それも何かスペシャルに披露されたというよりも、セットリストのなかに自然な流れで組み込まれていたのが良かった。「去年から笑って心を開くようになりまして、レミオロメンの歌を歌うようになりました。歌ってみたら、良い曲ですよね(笑)」。フラットな気持ちで過去を受け入れた藤巻は、いまに至る過程で生まれた“オオカミ青年”“月食”というダークサイドな楽曲も、「自分のなかのドロッとした感情も否定したくないので」と前置きをして、とてもエモーショナルに歌い上げていた。手拍子や腕を振ったりしづらい曲調ゆえに、フロアは呆然とステージを見つめるのみ。激しくライトが明滅した“かすみ草”まで終えると、そんなお客さんに「5拍子だから、みんながついて来れてない感じが良かったです(笑)。みんなで作っていこうね、ノリ方」と笑い飛ばしてしまう姿も、ステージに立つ者として一回り頼もしくなった藤巻亮太を感じる一幕だった。

クライマックスには、藤巻が苦悩の末に辿り着いた答えとも言うべき“日日是好日”が、どこか命の鼓動を思わせるティンパニーやベースの躍動感のあるリズムと共に、圧倒的にポジティヴな音となって会場いっぱいに満たしていった。そして、藤巻をはじめバンドメンバー全員が水色の法被を羽織り、お囃子のようなリズムのなかで届けた“春祭”へ。ギターの楢原と並びアコギを掻き鳴らし、いまこの瞬間を全力で謳歌するような藤巻亮太の楽しげな姿につられて、会場のあちこちにキラキラとした笑顔が溢れていた。

ツアーTシャツに着替えて再びステージに現れたアンコールでは、「またひとりでスタジオに通う日々が来るけど、この景色があるからめげないよ」と、目の前の光景を目に焼き付けるように言った藤巻。ピアノの伴奏のなか、マイクの前に直立で歌い出した“8分前の僕ら”では、人の心の機微を鋭敏に捉える藤巻らしい繊細なミディアムソングで、Zepp Tokyoを優しく包み込むフィナーレとなった。それでも鳴りやまないアンコール。アコースティックギターの弾き語りで届けた“3月9日”で、最後に感動的な大合唱を巻き起こすと、どこか名残惜しさも感じさせながら、今度こそ本当にライブは幕を閉じた。

およそ2時間にわたり繰り広げられた「春祭編」ツアーファイナル。この日、披露された大切な曲のひとつに“go my way”もあった。《遠回りもしたけど~ここまでの道のりが今の僕を作ってる》。この曲も、「今」こそが大事だと歌う“是好日好日”に通じるメッセージを持っている。いつだって藤巻亮太の歌は、その瞬間その瞬間の自分の心に、正直に向き合ってきた曲ばかりだ。だからこそ、この日のライブは、過去に縛られ、未来に怯え続けた男が、もう一度立ち上がるまでのドキュメンタリーようにも感じてならなかった。(秦理絵)
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