モリッシー、ハリー王子がハイチの貧民34人を食人したとしても英雄扱いされるはずと語る
2016.08.12 17:22
現在ヨーロッパ・ツアー中で9月に来日を予定しているモリッシーだが、相変わらずイギリス王室への辛辣なコメントを発言している。
もともと王室に対して批判的なことで知られるモリッシーだが、オーストラリアのニュース・コム・AUとの取材で度重なる王室批判のせいでしっぺ返しに遭ったことはないのかと問われ、次のように答えている。
「一度もないよ。おでき家(王室)のことが好きな人なんてぼくはひとりも知らないし。君主制というのは不平等で不公正な社会制度を体現しているものなんだよ。世の中に恭しい人など存在していないんだから。そんな馬鹿馬鹿しいものに加担してしまうのか、それともすべてが人間の欲得と傲慢さから発したことなのだと知性で自覚するかのどっちかしかないよね。ハリー(ヘンリー王子)はアフガニスタン派兵で34人殺してイギリスのマスコミはそれを英雄扱いしたんだ。ハイチの貧民34人をハリーがたとえ食ったとしてもきっとマスコミは英雄扱いするんだろうね。もう耐えがたい状況だよ」
また5月に行われたロンドン市長選では動物福祉党候補としての出馬も考えていたというのは事実なのかという問いには次のように答えている。
「事実だよ。ただ、選挙に名乗りを挙げたところで無駄だということもわかっていたからね。というのは、今の時代、BBCはニュースを伝えているわけではなくて、自社の意見を伝えているだけだからなんだ。だから、体制の特権階級にとっての利便性や偏った見方にそぐわない候補に対してはものすごく足蹴にするんだよ。リベラルであることを体現しているジョージ・ギャロウェイやナイジェル・ファラージのふたりがこれほどBBCに煙たがられてるのは、ふたりとも万人にとっての平等を標榜していて、BBCの遠隔操作にはまったく応じないからなんだ。今度の市長(サディク・カーン)は結果的に少ない投票率の中で勝っただけだし、おまけにハラール処理された屠殺肉も食べるし、喋り方が早口過ぎてなにをいっているのか理解している人など誰もいないから……イギリスのマスコミにはうってつけな存在なんだね」
また、最新作『ワールド・ピース・イズ・ナン・オブ・ユア・ビジネス~世界平和など貴様の知ったことじゃない』が2014年7月にリリースされ、その翌月にはレーベルのハーベストから契約解除されたことについて、今もレコード契約は浮いたままなのかという問いにモリッシーは次のように嘆いてみせている。
「ハーベスト・レコード的状況は二度とごめんだから。彼らには文字通り殺されそうになったし、今となってはぼくを殺しておかなかったのを後悔していることだろうね。ぼくにわかったのは2016年において純粋なアーティストであるのなら自分ですべて賄わなくてはならないということ。でも、どうでもいいような軽薄なアーティストならレーベルはいくらでも持ち上げてくれて、ネット・ニュースのあらかじめ買い取ってあるスペースに露出させてくれて、さも重要な存在であるかのようにみせかけてくれるんだ。ぼくは自分のカヌーくらい自分で漕げるよ」
また、デイヴィッド・キャメロン前首相がイギリスの国民投票によるEU離脱の責任を取って辞任したことについて祝ったのかという問いに次のように語っている。
「わざわざ祝う必要なんかなかったよ。イギリスの首相なんて辞めて3日後には忘れられるような存在だから。唯一の例外はトニー・ブレア首相で、それはイギリスの国民がブレアを法廷で人道に背いた犯罪で裁きたいからだよね(7月に発表されたイギリスのイラク調査委員会ではブレア政権下でのイラク戦争への参戦は不当なものだったと最終的に判断。ブレアはこれまでも戦争犯罪を犯したとして一部から糾弾されている)。政治的な意味で、今のイギリスに古き良き日々などというものはないんだよ」