【完全レポ】Mr.Children、未来を示す7年ぶりの武道館公演を改めて振り返る

  • 【完全レポ】Mr.Children、未来を示す7年ぶりの武道館公演を改めて振り返る - カメラマン:薮田修身(W)

    カメラマン:薮田修身(W)

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Mr.Childrenが10月7日にホールツアー「Mr.Children Hall Tour 2016 虹」の武道館公演を開催した。RO69ではこの模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
1.お伽話
2.水上バス
3.Melody
4.You make me happy
5.クラスメイト
6.PIANO MAN
7.しるし
8.桜井和寿 弾き語り(Over〜Alone Again)
9.もっと
10.掌
11.ランニングハイ
12.PADDLE
13.終末のコンフィデンスソング
14.血の管
15.こころ
16.旅立ちの唄
17.東京
18.足音〜Be Strong
19.通り雨
20.虹の彼方へ
En1.名もなき詩
En2.Tomorrow never knows
En3.ヒカリノアトリエ
En4.僕らの音

2017年3月からは新たに「Mr.Children Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ」を開催することを発表したMr.Children。さらに、同ツアーでは桜井和寿(Vo・G)/田原健一(G)/中川敬輔(B)/鈴木英哉(Dr・Cho)のメンバー4人に加え、サポートメンバー=SUNNY(Key・Cho)、山本拓夫(サックス)、icchie(トランペット)、小春(アコーディオン/チャラン・ポ・ランタン)を迎えた8人編成が「ヒカリノアトリエ」という新たなバンドとして公演を行うことがアナウンスされたことは、すでにご存知の通りだ。

デビューからほどなくアリーナ/ドーム/スタジアムを主戦場とするライブ活動へと突入したMr.Childrenにとって、1994年の「tour innocent world」以来実に22年ぶりのホールツアーとして今年4月から行われてきた、「Mr.Children Hall Tour 2016 虹」。1500人〜2000人規模の会場を中心に行われてきた、まさに「音楽そのものの至福」を軸とした今回のツアーを通して得た実感と充実感が、来年デビュー25周年を迎える彼らの「今」の新たな原動力となっていることが、上記の発表からも明確に窺える。
そんなツアー「虹」後半スケジュールの中で行われた日本武道館ワンマンライブは、ホールツアーの伸びやかで豊潤な表現世界をそのままアリーナに持ち込んだ、これまでに数多く観てきた「ロックバンドの武道館ライブ」とはまったく異なる音楽空間が繰り広げられた、最高のステージだった。

「いつもでかい会場だったらサービス映像とかあるんだけど、今回はあえてないの。なぜなら……音で触れ合いたいと思ったから!」と自らの意気込みと情熱を語っていた桜井の言葉の通り、大会場につきものの巨大ビジョンも大掛かりな装飾セットもなし。至ってシンプルで開放的な佇まいの舞台に広がる幕開けのナンバーは、このツアー各公演の幕開けを飾ってきた新曲“お伽話”。緩やかなリズムの中、SUNNYのピアノと小春のアコーディオンが、桜井/田原/中川/鈴木のバンドサウンドと響き合い、桜井の歌を美しく彩っていく。
山本&icchieのホーンサウンドとともに繰り広げるアンサンブルは、“Melody”では晴れやかな多幸感で満場の客席を包み、“PIANO MAN”ではスウィングジャズ風のスリルで、また“終末のコンフィデンスソング”ではビッグバンドを思わせる壮大な躍動感で武道館を震わせてみせる。かと思うと、“血の管”では広大な空間を荘厳な静寂で満たしていく……といった具合に、楽曲ごとに色彩感豊かな表情を、その歌と音でしなやかに描き出していたのが印象的だった。

90年代から今日まで日本のロックシーン/ポップミュージックシーンを牽引してきたモンスターバンド=Mr.Children。時代への批評性に満ちた楽曲を、ハイパーな訴求力や途方もないスケール感とともに織り重ねて壮大なポップアートを展開するスタジアム公演とはまったく別種の表現――8人で奏でる音のひとつひとつを丹念に慈しみ、丁寧に音色を重ね、その響きを全身で謳歌する、音楽の根源的な歓喜の形がそこには確かにあった。
「野球のスタジアムってさ、ビール売ってるお姉さんいるでしょ? イメージはそんな感じ。背中に音楽のタンク背負ってさ、2階の一番後ろの人のところまで行くよ! で、キューッてやるよ、手渡しで。何なら耳に直接行くよ!(笑)」
そんな桜井の言葉からも、この日のステージの8人がありったけの喜びを噛み締めていたことが伝わってくる。

ライブ中盤の桜井の弾き語りでは、名曲“Over”ができた背景にはギルバート・オサリバン“Alone Again”の影響があることを明かし、“Over”から口笛混じりに“Alone Again”に自然に流れ込んでみせる一幕も。あたかもトークショウのように、楽曲にこめた想いをにこやかに伝える桜井の姿が、満場のオーディエンスの祝祭感をよりいっそう濃密に高めていくのがわかる。
そんな桜井が終盤、ひときわ優しく鮮やかに歌い上げたのは、このツアーで披露されているもうひとつの新曲“こころ”だった。《誰が喜ぶでもない/気に掛けもしない/取るに足らぬ出来事で/嬉しくなれるのはあなたが/心を僕に与えてくれているから》……やさしい言葉とメロディ、その裏側に秘められた祈りにも似た真摯な想いが、聴く者の心の奥深くにまで染み渡り、あたたかい感激を呼び起こしていく。

「武道館の夜にこの曲を贈ります!」と熱いクラップを巻き起こした“東京”をはじめ、“足音〜Be Strong”“虹の彼方へ”など一面のシンガロングを生み出して、圧巻の高揚感とともに本編を締め括ったこの日のライブ。
アンコールでは「叫びたいんだろ? 歌いたいんだろ? 武道館!」という桜井のコールから“名もなき詩”“Tomorrow never knows”連射でさらにでっかい大合唱を響かせてみせた後、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』主題歌“ヒカリノアトリエ”で8人が奏でたカラフルなハーモニーが、困難に満ちた今この時代丸ごと祝福するように広がっていった。

熱演の最後を飾ったのは“僕らの音”。「あなたたちと僕たちで『僕ら』。こうやって武道館で、これだけの人が集まって、音楽を奏でて、歌って、楽しんで……つくづく幸せだなと思うし。たぶんそんなことを歌った歌なんだろうなと改めて思いつつ、心をこめて――」といった無垢なメッセージそのものの歌と音像が、武道館の隅々にまで広がっていった。
「誰もが知っているMr.Children」が「誰も体験したことがない音楽の豊かさ」を体現して回ったホールツアーという試みは、新たなツアータイトルと決意をもって2017年へと続いていく。
なお、同公演のより詳細なロングレポートが、11月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号に掲載されるので、そちらもぜひご一読を。(高橋智樹)
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