現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号表紙巻頭にMr.Childrenが登場!自分でも最高傑作だと思ってる(桜井)
20年ぶりの海外レコーディングで生まれた、Mr.Childrenの究極の到達点――
最新アルバム『SOUNDTRACKS』をメンバー全員で語り尽くす、巻頭ロングインタビュー!
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=藤代冥砂
まったく新しいMr.Childrenのサウンドが鳴っている。
小林武史のプロデュースによるかつてのサウンドとも、『REFLECTION』以降のセルフプロデュースのサウンドとも違う、でもこれぞ2020年のミスチルが鳴らすにふさわしい新しいサウンドだとすぐに耳と感性がわかる、そんな最高のサウンドが鳴っている。
Mr.Childrenの20枚目のアルバム『SOUNDTRACKS』は、ロンドンとLAのスタジオで、スティーブ・フィッツモーリス(サウンドプロデュース、エンジニアリング)とサイモン・ヘイル(ストリングス&ブラスアレンジ、ピアノ、ウーリッツァー)との共同作業、という初めてのやり方で制作された。
「スタジアムバンドとしてのMr.Children、音楽シーンのリーダーとしてのMr.Childrenとしてどんな音像を描くべきか」から、「楽曲そのままの魅力、桜井の歌そのものの魅力、メンバー個々が弾く楽器の音そのものの魅力、それらが溶け合った音楽そのものとしての魅力をどうピュアに落とし込むか」へのシフトチェンジだ。
この新しいやり方によって、これまでのいわゆる「Mr.Childrenのサウンド」の型やサイズから解き放たれ、意図や目的からも自由になった、純度の高い作品が誕生したのである。
レコーディングのやり方の変化やサウンドの変化だけではない。
このインタビューで桜井は、「『SOUNDTRACKS』の中に入っている曲って、Mr.Childrenがスタジアムとかアリーナで鳴らすことを前提として作ってない、かもしれない」「誰に見せるでもなく日記みたいにして生まれた曲が結構あるかな」と語っている。
また、「『終わっていくこと』っていう、自分の命もそうだし、男としてもそうだし、若さってものがなくなっていくこととかに対して、『重力と呼吸』はすごい抵抗しようって頑張ったアルバムだと思うけど(笑)、それを、もうすんなりと受け入れるというか」とも語っている。
つまり、今作の深く穏やかで大人なトーンは、桜井のソングライティングの時点ですでにあったものなのだ。
それがこの新しいサウンドによって濃く、深く、繊細に伝わってくる。
サウンドだけでなく内容においても、新しい季節を歩き始めたミスチルがはっきりと感じられる作品なのである。
初めてのアプローチで作られた今回のアルバムは、Mr.Childrenが2020年に放つ20枚目の最新作として、そして堂々の最高傑作として、見事に鳴っている。(総編集長 山崎洋一郎)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より抜粋)