現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』1月号に「ヌーミレパーク(仮)」DIRECTED BY PERIMETRONの潜入レポートを掲載!
Ginza Sony Park #014
「ヌーミレパーク(仮)」DIRECTED BY PERIMETRON潜入レポ!!
King Gnu&millennium paradeの世界が銀座に出現! 改めて考える、なぜ僕らは深みを増し続ける「彼ら」の世界にハマるのか?
文=小川智宏
いきなり関係のない話から始めて恐縮だが、僕はロックも好きだが特撮も好きなのである。それも、SFXバリバリのハリウッドクオリティのやつじゃなくて、日本の職人技が光るやつだ。もちろん21世紀なのでCGも使うけど、ちゃんと人間が中に入った着ぐるみが動いていて、ミニチュアの戦車から火花が出て、同時に怪獣の表面に仕掛けた火薬がパーンって爆発したりするやつ。同好の士はたぶんたくさんいるだろう。単なるレトロ趣味とか原理主義とかではない。生っぽい、というのともまた少し違うのだが、要はなんか手が届きそうというか、ギリギリ現実側にいる感じがグッとくる。それと似ているのだが、ファンタジーよりもSFのほうが断然好きなのは、そこに「もしかしたらすぐそこにあるかもしれない」世界が、そのアンバランスさも含めて描かれているからだ。『AKIRA』とか『機動警察パトレイバー』とかにピンとくる(世代感出すぎだが)、そういうことなのだと思っている。
何の話かといえば、PERIMETRONの話である。King Gnuやmillennium paradeをはじめ、多数のアーティストのアートワークやミュージックビデオ、さらにさまざまな企業とコラボしたクライアントワークも手掛けている常田大希主宰のクリエイティブレーベルである。彼らの生み出すクリエイティブも、どこかそういう匂いがある。単純に趣味の問題かもしれないが、彼らの映像やビジュアル作品の深層を掘り進めていくと、今ここのリアルが突然顔を出すような、そんな感じがある。
それはたとえば、millennium paradeの新曲“Philip”のミュージックビデオを観ても改めて思うことだ。これまで発表されてきた彼らのどの楽曲と比べても強固な物語性と舞台設定をもつ“Philip”だが、アニメーションで描かれるビデオはその物語をはみ出ている気がする。人間よりも人間臭い犬たちによる愛の悲劇。そこには、言葉よりも雄弁に、現実を僕たちに突きつけてくるような凄みがあるような気がする。
10月21日から銀座のソニーパークで開催されている「『ヌーミレパーク(仮)』 DIRECTED BY PERIMETRON」。地上から地下4階までの全フロアをPERIMETRONがディレクション、King Gnuやmillennium paradeの楽曲やミュージックビデオで描かれた世界を造形物やアトラクションで現実化するプログラムだが、その会場内に置かれたコラージュ作品を見て、改めてそんなことを感じた。一枚の板に、ポスター、ペインティング、ステッカー、グラフィティなど、幾重にも重ねられたクリエイションは、一見何を見せようとしているのかわからない。だがちょっとしたペイントの隙間とか、かすれた文字とか、ビリビリに破かれた紙の切れ端とかに、その重なった物語を読み解くヒントは隠されている。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年1月号より抜粋)
rockinon.comに掲載のレポートはこちら。
【JAPAN最新号】King Gnu&millennium paradeの世界が銀座に出現!「ヌーミレパーク(仮)」潜入レポ!! ――なぜ僕らは深みを増し続ける彼らの世界にハマるのか?
2020.12.02 12:00