DADARAYは素晴らしき「喜劇作家集団」である――三部作から読み解くバンドの正体


そしてDADARAYの立ち上げ人である休日課長のベース。ゲスの極み乙女。では上ものに負けじとど太い音を這わせ絶大な存在感を放っているが、不思議なことにこのバンドではそんな彼のベースですらたおやかに聴こえる。丸みを帯びた細やかな低音は、ときに鍵盤の音色のような温かみを、ときに小鳥のさえずりのような軽やかさを織り成し、聴き手の心をくすぐってくる。ベースソロでも上品で柔らかな音を丁寧に紡ぎあげており、ふたりの女性メンバーが醸し出す色香にいかに寄り添いながら奏でるかというところに彼の心があるのがわかる。DADARAYの楽曲が流麗であるのは、優しい音色で女性ふたりをエスコートする、ジェントルマン的な課長のプレーがあってこそのことだろう。


決して幸せではない恋愛模様を歌うDADARAYの音楽は、一見すればただの悲劇としか捉えられないかもしれない。しかしよくよく聴くと、先に挙げたような感激ポイントが山とある。だからこそ言いたいのだ、DADARAYの音楽は最高の喜劇であると。まもなくリリースされる『DADAX』も、聴き終えたときに呼び起こされたのは哀情ではなく純粋な感動だったし(個人的に“9月に落ちるひとしずく”は名曲すぎてつい笑ってしまった)、彼女たちは悲しみをそのまま芸術に昇華させる力を持っている。こんな尊いことができるバンドの音楽を、今、聴き逃していいわけがないのだ。(笠原瑛里)
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