3. ほとんどが(ほぼ)無名の俳優で固められているというリアルさ
『アナベル 死霊人形の誕生』には「顔を見た瞬間に名前が分かる」レベルのトップ俳優は出演していない。ほとんどの出演者があまり知られていない俳優のため、作品のリアルな怖さをうまく煽っているのだ。
例えば『死霊館』(2013)、そして『死霊館 エンフィールド事件』(2016)にはパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガという2人の有名俳優が出演しているため、世にも恐ろしいシーンがあっても非現実感が拭えない。
ホラー・ファンとしては目の前にあるホラー映画の世界に思いっきり浸りきりたいものだが、例えば『死霊館 エンフィールド事件』ではパトリック・ウィルソン演じるエド・ウォーレンの裏に、『恋とニュースのつくり方』のモテ男(パトリックの過去作)が頭にチラついてしまうため、「フィクションである」という事実からなかなか離れられないのだ。
もちろん、『死霊館』と『死霊館 エンフィールド事件』含めトップ俳優が出演するホラー映画にも非常に面白い作品はたくさんある。しかし今回の『アナベル 死霊人形の誕生』ではキャストが(ほぼ)無名の俳優で固められているため、リアルさを存分に楽しむことができるという大きな魅力があるだろう。
4. あの修道女が登場するという恐怖のサプライズ
本作には、シリーズを通して鑑賞済みの人にとってはお馴染みの、あの恐ろしい修道女が登場する。ヴェラ・ファーミガの妹、タイッサ・ファーミガ演じる修道女は、本作『アナベル 死霊人形の誕生』の本編、そしてエンドロール後にも効果的に登場し、ホラー感を煽ってくれる。
これは来年全米公開を予定している『The Nun(原題)』の前フリなのだが、なんとも恐ろしいタイミングで登場するため知らずに観るとかなり驚かされるだろう。
公開・制作予定も含め全7作となる死霊館シリーズは公開時期と時系列が入り組んでいるのだが、シリーズ5作目の公開となる『The Nun(原題)』は時系列的に最新の、『死霊館 エンフィールド事件』のスピンオフであり前日譚としての位置づけとなる。
今回の『アナベル 死霊人形の誕生』で死霊館シリーズの作品を初めて観たという人は『The Nun(原題)』の公開に備え、是非『アナベル 死霊館の人形』→『死霊館』→『死霊館 エンフィールド事件』の順番で鑑賞しておくことをおすすめしたい。
(滑石蒼)
なお、死霊館シリーズのこれまでの興行収入の推移は以下。全世界興行収入も3億ドルを突破しており、『アナベル 死霊人形の誕生』はシリーズ最高の滑り出しを記録している。
『死霊館』(2013年10月11日公開)土日:846万2900円
『アナベル 死霊館の人形』(2015年2月28日公開)土日:788万7600円
『死霊館 エンフィールド事件』(2016年7月8日公開)土日:1224万6700円
『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年10月13日公開)土日:1668万400円
●映画情報
『アナベル 死霊人形の誕生』
10月13日(金)公開
監督:デイビッド・F・サンドバーグ
製作:ジェームズ・ワン
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC