プッシー・ライオット、抗議活動でトランプ・タワーが30分閉鎖に。禁固刑の映像作家の釈放を要求

プッシー・ライオット、抗議活動でトランプ・タワーが30分閉鎖に。禁固刑の映像作家の釈放を要求

国内外に対して反体制的なメッセージを発信し続けているロシアのパンク・バンド、プッシー・ライオットがニューヨークのトランプ・タワーでメッセージ・パフォーマンスを敢行し、タワーが30分間の閉鎖状態になっていたことが分かった。

バンドはトランプ・タワーのロビーを見渡す階に陣取り、建物の吹き抜けの壁面に巨大な垂れ幕を下ろした。垂れ幕にはロシア当局に政治犯として投獄されているウクライナの映像作家、オレグ・センツォフの釈放を求める「センツォフを解放せよ」というメッセージが書かれていた。垂れ幕の他にも、プッシー・ライオットのメンバーが階上からビラをばら撒くなどしたという。

「Consequence Of Sound」「New York Post」が報じたところによると、バンドの3人は警備スタッフにそれ以上の行動を制止されたが、今回のパフォーマンスはトランプ・タワーの一般公開されている敷地内で行われていたため身柄を拘束されるようなことはなかったようだ。しかし騒動を収拾するため、ビルが30分ほど閉鎖されることになったという。


オレグ・センツォフはロシア当局からさまざまなテロ活動を企てていたという容疑をかけられ2014年に逮捕され、ウクライナ市民権を剥奪された上、2015年には20年の禁固刑に処された。実際のところは、センツォフが2014年のロシアによるクリミア併合を大々的に批判していたことと、また影響力のある映像作家であることをロシア当局が煙たがって画策した冤罪だと言われている。

なお、アメリカやEUではセンツォフの釈放を要求しており、国際的な人権団体のアムネスティ・インターナショナルもロシア政府の対応を批判している。しかしロシア当局はウクライナ国民であるセンツォフをロシア国民だと言い張り、身柄の出国については繰り返し拒んでいるという現状がある。

Pussy Riot - Make America Great Again

プッシー・ライオットはFacebookで今回の行動の主旨について、「わたしたちは政治犯についての関心を集めるためにトランプ・タワーを占拠しに来ました。政治犯の存在とその保護は、今誰もが関心を向けている性差別的な戯言よりももっと重要な問題だと考えています」と表明。さらに自分たちがロシアで投獄されていた際、西側諸国からの支援が支えになったことを次のように振り返っている。

わたしたちは自分たちが投獄されていた時に、世界中の何百人もの活動家たちがわたしたちのような目抜き帽を被ってわたしたちを支援するデモを行っているニュースを知った時のことを思い出します。あの時、わたしたちは孤独じゃないんだと知りました。

けれども、わたしたちがこうやって塀の外に出られたとしても、今でもみなさんの支援を待っている政治犯が何百人もいることを忘れないようにしましょう。わたしたちについては、みなさんからたくさんのお手紙や笑顔やノイズを送ってもらいました。


続いて、不当に投獄されている政治犯への支援についても次のように言及している。

政治犯の保護は国境を越えた問題です。わたしたちは団結して、権力を振りかざしてきたプーチンや、権力をちらつかせているトランプのような人物との闘争を続けています。なぜなら、あらゆる場所で抑圧に対して声を上げている人たちのためにわたしたちは力を合わせて闘わなければならないからです。


マリア(マーシャ)・アリョーヒナ、ナジェージダ(ナージャ)・トロコンニコワ、エカチェリーナ(カーチャ)・サムツェヴィッチが中心メンバーとなっているプッシー・ライオットはもともとロシアで特に反プーチンのほか、公民権の徹底や女性やLGBTの権利を掲げる反体制的パフォーマンス活動を続けていたが、2012年の選挙でプーチン大統領支持を表明したロシア正教会への抗議を表明して、教会に乱入しパンク・ロックのライブを行ったところ逮捕された。

マーシャとナージャは2012年8月に騒乱罪を問われ2年の禁固刑を言い渡されたが、バンドの活動が広く報道されたことで各国から批判を浴び、2013年の年末に恩赦によって釈放。その後、ロシア内外で広く活動を続けてきた。

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