ゆず「冬至の日ライブ ファイナル」はこのように伊勢佐木町でひとまずの幕を引いた

ゆず「冬至の日ライブ ファイナル」はこのように伊勢佐木町でひとまずの幕を引いた
一時代に、清々しい終止符を打つライブだった。2017年にデビュー20周年を迎えたゆずが、毎年12月22日頃のフリーライブ「冬至の日ライブ」の歴史に一旦の幕を引くステージ。AbemaTVで生配信が行われ、期間限定で見逃し視聴も可能だ。鮮烈なメジャー進出を果たした後、一躍人気アーティストとなったゆずの「冬至の日ライブ」は、多くのファンが大挙して駆けつける恒例行事となった。近年はインターネット配信で多くのファンに観て貰う形式をとることが多かったが、2011年には福島で、2016年には熊本で、それぞれ震災に見舞われた地域にも歌を届けてきた。

ライブ生中継の前に、北川悠仁と岩沢厚治が過去の「冬至の日ライブ」を懐かしそうに振り返るトークが録画で届けられる。若い頃からストリートライブで慣らした彼らとはいえ、この時期の野外ライブの寒さには苦労させられたようだ。インディーズデビュー年の1997年には一般告知され横浜大通り公園で開催された「冬至の日ライブ」だが、前年の1996年に「冬至の日だから行こう」と思いつき、いつもどおり横浜・伊勢佐木町でストリートライブを行ったのが始まりだという(なお、お客さんは集まらなかったらしい)。

さて、ライブ当日の夜。『ミュージックステーション スーパーライブ2017』出演を終えたゆずのふたりはすぐさま伊勢佐木町へと向かい、イセザキ・モールですれ違う人々と挨拶を交わしながら歩く。今回、完全シークレットだった「冬至の日ライブ ファイナル」会場は、カトレヤプラザ伊勢佐木(横浜松坂屋跡地に建てられたショッピングモール)の屋上であった。伊勢佐木町で「冬至の日ライブ」を行うのではないかと予想していたファンは多いようで、恐らくはスマホ片手に、建物の下から大きな歓声を上げている。

20周年らしく、インディーズのミニアルバム『ゆずの素』を収録曲順に再現するという趣向で始まったステージは、当時の若くささくれ立ったゆずと、キャリアを重ねて表現力の深みを増したゆずが一緒くたに現れる“てっぺん”を手始めに、AbemaTVの投票機能を利用して歌詞変更のアンケートを取った“する〜”(《イナバ イナバ イナバ》と歌われた歌詞は、ゆずを見出したレーベル社長=稲葉氏に捧げられたものだろう)、ひときわ美しいギターフレーズと歌声の響き合いを残す“空模様”まで、ルーツを辿る感慨深いパフォーマンスになった。イセザキ・モールにあったヴァージンメガストアには僕もよく通ったが、その頃の情景が一気に蘇る。

通りから「もう1回!」コールが湧き上がる“夏色”もプレイすると、岩沢がアコギとブルースハープで“蛍の光”を奏でる中、北川は「俺たちが軽い気持ちで始めたものだったのに、たくさんの人が愛してくれて、毎年この日を楽しみにしてくれるのが嬉しかったです」、「冬至の日ライブは終わっちゃうんですけども、俺たちは命ある限り歌い続けるので、これからもどうか俺たちの歌を楽しみに待っていてください!」と挨拶。そして、2018年4月4日(水)のニューアルバム『BIG YELL』リリースと、それに伴うアリーナツアー開催を告知した(ニュース記事はこちら)。

「冬至の日ライブ ファイナル」を締めくくる1曲は、これまでにも幾つもの別れと悲しみを踏み越えてきた“シュビドゥバー”だ。ゆずとファンにとって大切な恒例行事だった「冬至の日ライブ」は、毎回、会場や安全の確保が難しい中でどうにかアイデアを練って続けられてきたイベントであり、一旦の幕を引くことも苦渋の決断だったろう。ニューアルバムの告知のみならず、このデビュー20周年のゆずは、リリースにツアーにと「攻めのアニバーサリー」を過ごしてきた。ある意味「冬至の日ライブ」を終了させ、さらに前へと進む姿勢を見せてきたと言える。行動の伴う決断をして新たな季節に踏み出す彼らには、心から拍手を贈りたい。(小池宏和)


<ゆず 冬至の日ライブ ファイナル セットリスト>
01. てっぺん
02. 連呼
03. する〜
04. 地下街
05. ろくでなし
06. 岡村ムラムラブギウギ
07. 空模様
08. 夏色
09. シュビドゥバー


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