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    米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは?

    • 米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - Pic by Jiro konami

      Pic by Jiro konami

    • 米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - Pic by Jiro konami
    • 米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - 『僕のヒーローアカデミア』×米津玄師「ピースサイン」スペシャルミュージックビデオより (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会
    『週刊少年ジャンプ』にて連載中、堀越耕平によるコミック『僕のヒーローアカデミア』。世界総人口の約8割が超常能力を持ち、人々と社会を守るヒーローが職業として認められている世界に生きる「ヒーローの卵」たちの成長を描く同作は、シリーズ累計発行部数1200万部を突破。TVアニメの第3期放送と劇場版公開を控え、さらなる盛り上がりを見せるであろう2018年を目前にして、米津玄師の楽曲“ピースサイン”とのコラボMVが公開された。


    “ピースサイン”がアニメ第2期のオープニングテーマとして放送されていた時、物語は「雄英体育祭」のエピソードの真っ只中だった。「雄英体育祭」とは、数多のヒーローを輩出してきた名門・雄英高校の実技お披露目会的な学校行事。スカウト目的に全国から集結したプロヒーローに見込まれれば将来が拓ける可能性もあり、つまり生徒たちにとっては人生をかけた大舞台でもある。そのため、登場人物それぞれが「なぜ自分はヒーローになりたいのか」という部分と向き合うような場面が多く、ひとりひとりのバックグラウンドを掘り下げるような放送回が多かったのが本シーズンの特徴であった。

    “ピースサイン”は、米津が、小・中学校の頃の自身や、当時恋焦がれていた「王道」の音楽や漫画などを思い返しながら制作した曲。だからこそこの曲は、「アマチュア/プロ」、「守られる側/守る側」の境界を行ったり来たりしながら、自分の描く理想のヒーローを目指す雄英高校ヒーロー科の生徒たちとリンクするようなものになったのだろう。

    米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

    “ピースサイン”の歌詞に合わせてアニメーションが展開していくこのMVには、両者の共鳴指数の高さに胸を熱くさせられる場面が多数ある。例えば、助けを求める人を見ると衝動的に飛び出してしまう主人公・緑谷出久のヒーロー観を表した《変わっていく僕を笑えばいい/独りが怖い僕を》というフレーズ。複雑な家庭事情によって背負った傷と、幼い頃に抱いていたヒーローへの純粋な憧れの間で揺れる轟焦凍の葛藤を言い当てるような、《蹴飛ばして噛み付いて息もできなくて/騒ぐ頭と腹の奥がぐしゃぐしゃになったって》という描写。《残酷な運命が定まってるとして/それがいつの日か僕の前に現れるとして》というフレーズは、プロヒーローの兄に重傷を負わせた敵(ヴィラン)への復讐を人知れず誓った飯田天哉の境遇と悲しいほど綺麗に重なるもの。《いつだって目を腫らした君が二度と/悲しまないように笑える/そんなヒーローになるための歌》であるこの曲は、どんなに悔しくっても出久ら同級生の前では涙を見せなかったヒロイン・麗日お茶子の強さにも静かに寄り添うことができる。

    米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

    米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

    米津玄師“ピースサイン”×『ヒロアカ』コラボMV、その胸が熱くなる共鳴ポイントとは? - (C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

    “ナンバーナイン”以降「自分と他者との間にリンクする部分を見つける」という方法でタイアップ曲を制作し、どんどん外へと開かれていった米津玄師のソングライティングと、主人公以外の登場人物にもスポットを当て、内なる葛藤を顕在化させることで数ある個性をひとつひとつ肯定していく『ヒロアカ』の哲学。このコラボMVは、今でしかありえなかった両者の出会いを、最高の形で輝かせてくれるような作品だ。(蜂須賀ちなみ)
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