2001年にリリースされた2ndアルバム『MESSAGE』の爆発的なヒットによって、彼らは老若男女に知られるようになったが、言わずもがな『GO ON AS YOU ARE』も大ヒット作。まず1999年12月に沖縄県限定で発売され、「発売当日初回プレスを完売。県内インディーズ史上驚異的なセールス記録を達成」(全国流通盤帯より)となり、折り紙付きで2000年4月に全国発売された経緯を持つ。
ちょうど、メロディックパンクが隆盛を極め、青春パンクが台頭してきた頃。私は、どちらの「ムーブメント」にも当てはまる「日本語詞も歌う3ピースバンド」の彼らを、「どうなのかなあ……」と思いながらレコード屋で試聴して、そんなチマチマしたことを気にしていた自分が恥ずかしくなった記憶がある。何故なら、このアルバムは、そんな疑いなど吹き飛ばす、汚れなきピュアな言葉とピュアな音で満たされていたから。
(彼らの特色のひとつでもある)スカのビートに《簡単に自分を責めたり/自信をなくさないで/もう 明日は日曜日》という、有無を言わせぬ楽天的な歌詞をのせて、歌い踊らせる“DONʼT WORRY BE HAPPY”。《愛する花に水を/枯れないようにやさしさを/太陽の下で笑い/正直な心 素直な言葉》という、子どもでもわかるような歌詞を真っ直ぐに響かせる“愛する花”。陽気な曲調に見えて《あなたは、あなたの道を進まなければいけないと思う》(和訳)という、その後の彼らを示唆するようなフレーズを封じ込めていた“PARTY”――これらのピュアさは、明るさと鋭さを増して『MESSAGE』へと繋がっていったことは周知の通りだと思うが、「この時の彼らにしか生み出せなかった言葉と音」が、『GO ON AS YOU ARE』には詰まっている。
そんな作品だからこそ、30代後半に差し掛かった彼らが、改めてリリースツアーを行うことが興味深い。ツアーを行わなかったことを悔いていたのか? 今ならではの解釈で届けたくなったのか? 青春を取り戻したいのか? それとも……? また、『GO ON AS YOU ARE』から徹底して全曲を演奏するのか、それともキラーチューンを厳選して他のアッパーな楽曲と共に演奏するのか……いろいろと想像を巡らせることも、また楽しい。
リスナーとしては、ライブが貴重だった当時の彼らに対する渇望感が蘇ってくるのと同時に、タイムマシンに乗る以上の「何か」が味わえそうな期待感もある。この流れで、同じ理由でリリースツアーが行われなかった『MESSAGE』を主役にしたツアーも観てみたい……と思うのは、気の早い願いだろうか? まずは5月から10月にかけて行われる『GO ON AS YOU ARE』ツアーを待っていよう!(高橋美穂)