レッチリのフリー、自らの経験をもとに薬物依存症へ警鐘。その恐ろしさと自力で克服した過去を語る

レッチリのフリー、自らの経験をもとに薬物依存症へ警鐘。その恐ろしさと自力で克服した過去を語る - pic by Steve Kerospic by Steve Keros

「TIME」の最新号では、薬物依存症の特集として特にヘロインやアヘン系薬物の依存症にかかっている患者の写真を掲載するという特集を掲載。この号にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーが寄稿し、依存症にまつわる自身の経験について語っている。

生まれた時から自身の家庭にドラッグが溢れていたと語るフリーだが、家に出入りしている大人は誰もが薬物を使っていたのだという。その影響で11歳の頃には大麻を吸うようになり、その後はヘロインやあらゆる薬物をあらゆる形で摂取していたことを明かしている。

しかし、26歳になるまでにバンドの初代ギタリスト、ヒレル・スロヴァクを含む親友3人が薬物のせいで亡くなり、自身でも間一髪の経験を経て足を洗うことを考えたという。本格的に決意したのは家族を持ったからで、30歳になってから薬物は自身の生命力を損なっているだけだと自覚し、きっぱりやめたと説明している。

ただ、薬物を断ち切るのが難しかったのはその先だったと次のように語る。

誘惑が本当にいやらしい形で襲ってくるんだ。俺は生きてきてずっと、不安がものすごい恐ろしい勢いで襲ってくる時期が何度もあるんだよ。いつの間にか胃がぎゅうーっと搾られるような痛みに襲われて、脳味噌がきんきんに冷えた爪で握られるような感じで痛くなるんだ。

頭の中は情け容赦なくぐるぐる回りっぱなしで、飯も食えなければ眠れもしないし、絶望の果てしない空間をただ見つめて、恐怖の底なしの谷をずっと覗き見るような心地なんだ。やばいんだよ、これが。ここで薬をキメたら一発で気分がよくなるからね。

薬の濫用を一度やってしまうと、そういうのが常に口を開けて待ってて、こっちに来て頭をすっきりさせようぜって誘ってくるんだ。そういう時は瞑想するのもいいし、運動もいいし、カウンセリングに行ったり、あるいは自分の難しい人間関係について辛抱強く、謙虚に取り組んでいくということをしたり、いろいろ気の紛らわし方はあるんだけどね。

だけどそこで売人を探してくれば、50ドル(約5250円)でヘロイン1袋を買ってそのまま1分ですべて解決するんだよ。

だから、こういう経験を通して俺が学んだのは、(薬を欲する)自分の身体が感じるこういう痛みに対して、感謝すればいいんだということだったんだよ。痛みをありがたく思うっていうマインドセットに自分を置いたことで、薬物の誘惑から自分を遠ざけることに成功したんだ。



こうした方法は自分の経験から導き出したものであり、特にリハビリや治療を受けたわけではないのだとか。自分の力で「意識的に辛さを経験していく」ことは辛いけれども、自分に自信と自尊心ももたらしてくれることにもなり、依存症を克服してからは本当の成功と喜びと充実感を実感できるようになったのだという。

しかし、ライフスタイルをいくら変えてみたところで危険はいつも待っているものだとも説明。たとえば以前スノーボードで骨折した際に担当医から処方された痛み止めが、自分を薬物依存に引き戻しかねなかったことを明かしている。

その経験を踏まえ、どんなに人格的に優れているように思えるような人でもいつでも依存症に陥る危険があるのだと、フリーは以下のように警告する。

人生は痛みに溢れているものなんだよ。世の中は怖いところだし、だから、薬に頼ることで、痛みや不安、不正義や失望から逃げられるように思えるんだ。

でも、そういう辛いことに対して感謝に気持ちを持って向き合うことで、そしてさまざまな困難の教訓を自分から受け入れていくことで、俺たちは初めてそれを乗り越えていく可能性も手にするわけだし、依存症という強烈な誘惑になびかない、より健全で幸せな人になれるんだ。


「TIME」に掲載されている特集記事の写真は、「TIME」の公式サイトで見ることができる。
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