4月25日にソロとしての新作『アメリカン・ユートピア』をリリースするデヴィッド・バーンは今回のアルバムで女性アーティストとのコラボレーションを試みなかったことを後悔していると明らかにしている。
ここのところ他アーティストとのコラボレーション作品が続いたため、『アメリカン・ユートピア』はソロ・アルバムとしては14年ぶりとなるが、今作でもブライアン・イーノ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、サンファなどといったアーティストらが参加したものになっている。
デヴィッドはこれらの参加アーティストの作品も含めた新しいプレイリストを自身のオフィシャル・サイトに公開。さらにこのプレイリストに収録されたアーティストの顔写真を並べた画像をInstagramにあげたところ、全員男性アーティストだったため、女性が欠けていることを批判的に指摘する声も上がることに。
中には「女性が不在でなにが『アメリカン・ユートピア』なの?」と手厳しい意見もあったが、この指摘に対してデヴィッドは次のように感謝の意を表している。
この間、ぼくの新作でコラボレーションしたいろんな人たちについての記事やプレイリストを上げたけど、返信の中にはこのグループに女性が欠けていることを指摘する声もありました。このことに注意を促してくれた人たちには感謝を表明したいです。ぼくには大きな意味を持つことですから。
さらにデヴィッドは女性が無意識的にも排除されていく構造が音楽業界の問題点でもあると指摘していて、「今度の新作ではぼくが女性のミュージシャンを招集したり、女性アーティストとのコラボレーションをしたりしなかったことを後悔しています。そうなってしまったことは馬鹿馬鹿しすぎるし、ぼくはそういう人間ではないし、これまでの仕事の仕方もそういうものではなかったからです」と説明している。
さらに女性に対して排他的だと感じられてしまったら、さまざまなミュージシャンらとの混成パフォーマンスとなっている今回のツアーも正しく体現する作品にならなくなってしまうとデヴィッドは反省していて、その点、今度の作品は詰めが甘かったと詫びている。
ただ、そう指摘されたことをありがたく受け入れていると次のように締めくくっている。
でも、こういう対話が行われる時代に生きていることを嬉しく思うよ。世の中を自分が正しいと思える方向に押し動かしているつもりになっていても、実は自分が問題に加担してしまっていることもあるというのは、なかなか自分ではわからないことだから。ぼくは自分がそういう「いけすかない野郎」だとは思ってなかったけど、ある部分ではそうだったのかもしれない。みんなの反応はそういうことを正してくれるものになります。ありがとう。
なお、デヴィッドの12年の前作『ラヴ・ディス・ジャイアント』は全編セイント・ヴィンセントとのコラボレーション・アルバムだった。