ニール・ヤングがストリーミングに拳を振り上げる。「既成概念をそのまま受け容れる気はない」

ニール・ヤングがストリーミングに拳を振り上げる。「既成概念をそのまま受け容れる気はない」 - 『rockin'on』2018年6月号より『rockin'on』2018年6月号より

昨年はニール・ヤング+プロミス・オブ・ザ・リアル名義で新作『ザ・ヴィジター』を発表し、今年に入ってからも自身が出演を務めるミュージカル映画『パラドックスの瞬間(とき)』のサントラをリリースするなど、70歳を越えてもなお精力的に活動を続けるニール・ヤング。

『ロッキング・オン』6月号では、そんな衰えを知らないニール・ヤングの最新インタビューを掲載。

昨年12月に公開した全キャリアにおける音源・資料を集約したサイト「Neil Young Archives」の話題を中心に、テクノロジーなどについて語っている。

ニール・ヤングは「Neil Young Archives」に1990年から取り掛かっていたという。公開がここまで遅れた理由として、音楽の再生に必要な水準を満たしてなかったテクノロジーが原因だったと語っている。

そもそも「Neil Young Archives」を完成させるモチベーションとは何だったのか。以下のように答えている。

俺は音楽の世界で既成概念とされてる現状を、そのまま受け容れる気はないんだよ。Spotifyを使ってる連中が聴いているのは、元々の音源の5%以下、せいぜい3%ちょっとだ。それ以外のところはまっすぐゴミ箱行きなんだぜ。まるでサウンドの表面的な部分だけを撫でて終わりみたいじゃないか。

音楽は俺の生命なんだ。今の世の中でみんなが当たり前みたいに金を払って掴まされてるゴミと同じものなんか聴いてられないし、自分までそっち側に組み込まれるなんて真っ平だね。だから俺は一度ストリーミングから自分の作品を全部引き揚げたし、多分この先またそうする時が来るだろう。


また、「アーカイブを構築していて驚いたことはあったか?」と訊かれると、以下のように語った。

まあ発見の連続でね、俺はしょっちゅう驚かされてるよ。俺たちは何から何までレコーディングしてるし、いつもカメラを回してるから、とにかく膨大な量の素材があるんだよ。1976年の『オデオン/武道館』って音源があるんだけど、その時の映像まで出てきたんだぜ。

つまり、またまたクレイジー・ホースのライブ・アルバムの映像版がお目見えするってわけだ。俺にとってこれは非常に有意義な経験だね、なにしろ音楽を大事にすることだけ考えてりゃいいんだから。とにかく、可能な限り良いサウンドにして聴いてもらいたいんだよ、タダでってわけにはいかないまでも、ごく僅かな金額でな。


インタビューの最後では、音楽以外に就いた仕事について訊かれると「本に値札をつける仕事」と意外な返答をする場面も。この仕事を終えて以降はずっと音楽に携わり続けているニール・ヤングは、今回のインタビューを以下のように締め括っている。

ああ、俺は音楽が好きなんだ。だから、音楽がちゃんとした扱いをされずにいるのは見過ごせない。本人が出し抜かれたことに気づいていようといまいと、そういう目に遭ってる人間を見るのは好きじゃないんだ。だからこういうことも、黙って見て見ぬ振りをするつもりはないんだよ。


本誌では同インタビューのほか、ニール・ヤングの関係者の証言に基づくドキュメントに加え、ライブ・アルバム『ロキシー:トゥナイツ・ザ・ナイト(今宵その夜)』とサントラ『パラドックスの瞬間(とき)』のレビューも掲載している。

近年のニール・ヤングの活動と、彼が何を考えて行動していたのかを、ぜひ本誌にて確かめてもらいたい。



『ロッキング・オン』6月号の詳細はこちらから。
http://www.rockinon.co.jp/product/magazine/144391

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