BABYMETAL、痛切にひずんだ新曲“Distortion”から彼女たちの「使命感」を読み解く

BABYMETAL、痛切にひずんだ新曲“Distortion”から彼女たちの「使命感」を読み解く
2ndアルバム『METAL RESISTANCE』の後、2年余りにわたって新曲のリリースがないまま、それでも世界各地でライブを繰り広げることでなおも状況を拡大し続けてきたBABYMETAL。そのディスコグラフィにおける「空白」が日本時間5月8日0時、「BABYMETAL WORLD TOUR 2018」開幕直前に突如配信開始された新曲“Distortion”をもって終わりを告げたのはご存知の通りだ。
日本のみならず世界中のファンが待ち侘びる形となった新曲を、この記事を読む前にすでに聴かれた方も多いことと思う。

『METAL RESISTANCE』の“ヤバッ!”や“シンコペーション”にも通じるソリッド&ラウドなメタルコアの加速感を、全編にわたってフィーチャーされたバスドラ連打で極限進化させた、どこまでも凄絶な音世界。サビのポップなメロディとともに歌い上げられる、《Can’t stop the power/Caught in a bad dream》、《ひずんだ イタミ 切りつける/キタナイセカイだった》、《偽善者なんて KILL捨てちまえよ》といったシリアスな言葉の数々。さらに、その音像&世界観と呼応するかのようにミュージックビデオで展開される、ディストピア感に満ちた映像世界――。
「メタルレジスタンス第3章」の始まりを告げたメロディックスピードメタルアンセム=“Road of Resistance”(『METAL RESISTANCE』収録)の圧倒的なポジティビティと比べると、“Distortion”が描く「第7章」の幕開けの風景はあまりにもヘヴィで、熾烈だ。


極東の島国で3人の少女が掲げた「メタルで世界をひとつにする」という「メタルレジスタンス」の途方もない物語はしかし、ロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)をはじめ並み居るメタルゴッドを魅了し、度重なるワールドツアーの果てにレッド・ホット・チリ・ペッパーズメタリカガンズ・アンド・ローゼズKOЯNといった豪傑バンドのツアーサポートをも実現させるに至った。世界に冠たるロックレジェンドと共演を果たし、国内では東京ドーム2DAYS公演(2016年)を大成功させるという前人未到の場所に、BABYMETALは10代のうちに立ってしまった。
メタル×ポップの拡大解釈が至上のミラクルを呼び寄せた1stアルバム『BABYMETAL』から、世界各種メタル博覧会的な音楽性が凝縮された2ndアルバム『METAL RESISTANCE』へ――という作品の流れも含め、彼女たちはその歩みの中で確かに「メタルで世界をひとつ」にしてきたのである。

そして――“Distortion”が「第7章」の黙示録的ナンバーだとすれば、そこから浮かび上がるのは「メタルで世界をひとつにする」といったサクセスストーリーや冒険活劇ではないだろう。
今この時代を「ひずみ」を抱えながら生きる世界中の報われない魂を、音楽の力で奮い立たせるためのメタル十字軍……とでも言うべき使命感が、銃撃の嵐の如きバスドラの響きからも、凛とした歌声からも伝わってくる。

サポートバンド「神バンド」の一翼を担い続けた名ギタリスト=「小神」こと藤岡幹大の急逝に対して世界中から寄せられた追悼のメッセージも、BABYMETALという音楽/表現が持つユニバーサルな訴求力をリアルに物語るものだった。
そして今、困難を経てなおもBABYMETALは前へ先へと進み続けている。
「キツネ様に選ばれし、DARK SIDEの7人の勇者達『THE CHOSEN SEVEN』が降臨する」というメッセージとともに開幕を迎えた「第7章」。その冒頭のUSツアーでは“Distortion”以外にも新曲が披露されているようだ。MVにも特徴的なキャラクターとして描かれた「THE CHOSEN SEVEN」の真相とは?――といった点も含め、BABYMETALの「その先」からますます目が離せなくなる1曲であることは間違いない。(高橋智樹)

BABYMETAL、痛切にひずんだ新曲“Distortion”から彼女たちの「使命感」を読み解く - 『Distortion』『Distortion』
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