今年中に新作のリリースが期待される中、8月17日に開催される「SONICMANIA」への出演が決定しているマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。
『ロッキング・オン』7月号では、2号連続特集の第2弾として、ケヴィン・シールズらメンバー全員が『ラヴレス』について語ったインタビューの後編を掲載している。
膨大な時間と費用がかけられた『ラヴレス』だが、制作中、バンドは契約していたクリエイション・レーベルとの関係がぐらついていたのだという。
その影響もあり、スタジオを転々としながらもレコーディングを進めていったケヴィンとコルム・オコーサクに対し、デビー・グッギは「最初のドラムの作業がものすごく長かった」と述べたあと、『ラヴレス』をレコーディングしていた状況を以下のように語った。
毎日スタジオに行くんだけど、ケヴィンとコルムがドラムをチューニングしてるから、何もすることがなくて。じっとしてるだけ。ある時点で全員が発狂寸前までいって危険な状態だった。私の自尊心も少し低くなることが時々あったかもしれない。あまりすることがなかったしね。
1991年に『ラヴレス』がリリースされると、その後ツアーを行ったのちにケヴィンは次なる作品の制作に取り掛かる。ケヴィンは「普通のやり方では曲を書かないようにしていた」ようだが、結果、バンドは勢いを失い足踏み状態になってしまったという。
デビーはその時の状況を、バンドが空中分解していく様子について触れながら以下のように明かした。
(中略)私たちは機能不全に陥っていて、バカみたいにノロかった。ある日コルムが出ていってしまった。それがすごく寂しかったわ! いつもコルムと私が最初に起きてきて、朝コーヒーを一緒に飲んでたからね。それから私も出て行った。録音したワイヤーの曲(“北緯41度西経93度”)のテープを届けるためにアイランドまで車で行ったの。それが金曜日の夜で、家に戻る道すがら思ったのよ。
「自分が正気を保つためには、戻っちゃダメだ」って。だから自分のアパートに帰ってケヴィンに電話した。それが1997年だったと思う。
バンドが事実上活動休止となって以降、4人はそれぞれが別の活動を始めることとなる(ビリンダ・ブッチャーのみ一時音楽を離れる)。特にケヴィンはプライマル・スクリームやパティ・スミス、ポール・ウェラーらの活動に参加していた。
ウェラーは2010年に発表した『ウェイク・アップ・ザ・ネイション』の収録曲“7 & 3 Is the Strikers Name”などでケヴィンとコラボした際のことを以下のように語った。
彼がスタジオにやってきた時、エフェクトやペダルが入った大きなバッグを持ってたよ。
全部ブンブン音を立てていて爆発寸前だった。セッション中、僕はケヴィンを見ていたけど、今でも彼が何をやっていたのかよく分からないんだ。でもひとつ分かるのは、それは彼にしかできないってことだ。
個々の活動を経たバンドは2008年6月、16年ぶりに公の場でライブを行い、さらに2013年には3作目のアルバム『m v b』をリリースした。
そして、2017年夏にアイルランドにてスタジオ作業が始まったという4枚目のアルバムについて、ビリンダは以下のように答えている。
私がやる分も、もうほとんど準備できてると思う。
すごく楽しみ。すごく面白くなりそうな予感がする。ケヴィンはこれまでと同じやり方で曲作りをしているわ。彼の頭には常に何百万もの曲が駆け巡っているのよ。
インタビューではこのほかにも、『ラヴレス』レコーディング時の苦労や、バンドが活動休止中、特に活動をともにしていたケヴィンとプライマル・スクリームとの関係についても語られている。
『ラヴレス』がいかにして作られ、なぜ2018年現在まで歴史的作品として語られているのか。その答えは『ロッキング・オン』7月号にて確かめてほしい。
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのインタビューは現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。
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