ノエルはソロとしては初サマーソニック、ヘッドライナー出演となった。オアシスとして世界各地のフェスで数々の伝説的ステージを残し、人々の胸に一生消えることのない記憶を刻み込んできたのももう10年近く前のこと。オアシスという大きすぎる鎖を自らの手で切ってからのノエル・ギャラガーの行動を見ていると、いかに彼の中にため込んでいたものが臨界点に達していたのかがよくわかる。日本公演を振り返るとデビュー・アルバムを出したのが11年で、翌12年には1月に2回だけのプレミアム・ショー、5月には武道館を含む本格的なツアー、さらに7月にはフジロックに参加して、ソロ、およびバンドとしての計り知れない可能性を見せつけた。また、そこで鳴らされるオアシス・ナンバーは新しい場を得たアンセムとしての存在感を誰の耳にも焼き付けたのだった。アルバム・セールス的にも全英1位、ダブル・プラチナと予想以上の結果を残し結果的にこの12年の快進撃が決定的な自信となって、より意欲的な作品作り、コラボ、ネットワーク作りへと進んでいく。セカンド『チェイシング・イエスタデイ』がリリースされたの15年で、ライヴの人気曲“イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント”を始め高い評価を得たし、ツアーも完全に軌道に乗り日本にも15年4月に武道館2回や大阪、広島、福岡、名古屋の各地で公演が行われ、7月にはフジロックに再降臨を果たした。もうどんな言葉もビッグ・マウスとはならない快進撃ぶりは17年も続いた。ハイライトの中心はもちろんサード・アルバム『フー・ビルト・ザ・ムーン?』で、これまでにないほど多彩な音楽性を洗練された形で盛り込んでみせ、高い完成度を示していたし、ソングライター、サウンドメイカー、パフォーマーとしての充実ぶりに加えプロデューサー感覚を今作では強く感じさせたのだ。その到達した境地は、この男の今後への期待を改めて高めてもくれた。昨年7月からはU2『ヨシュア・トゥリー』30周年記念ツアー、ヨーロッパ・レグのサポートを行ったが、そこにはオアシス〜ビーディ・アイのゲム・アーチャーが加わっており、ファンたちを驚かせた。今回のサマソニではノエルが関わってきたすべてが内包されたステージとなることは確実で、一つの頂きに立ったことが確認できるはずだ。 (大鷹俊一)
●この3曲が聴きたい!
〈フー・ビルト・ザ・ムーン?〉ツアーと同じくインストに続き実質的なオープニングとしてプレイされると思われるのが、ファンキーなノリに包まれた“ホーリー・マウンテン”で、このアッパーな曲によって会場が一気にノエル・ワールドに変わる光景をまず見たい。そして前半のハイライトの一つが、本文でも触れた“イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント”で、ビートルズやオアシス的な要素がふんだんに盛り込まれたナンバーは前半で会場全体の熱を一気に高めるはず。そしてもう一曲は、やはりこれの大合唱なしでは帰れない“ドント・ルック・バック・イン・アンガー”で、ラストの“愛こそはすべて”(ビートルズ)の前に炸裂する。
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