グループ魂とCharの『The Covers』での共演が意外なくらいかっこよかったことについて

NHK BSプレミアム8月31日22時から放送の『The Covers』。今回はグループ魂が登場。チェッカーズの“哀しくてジェラシー”と渋谷哲平の“Deep”をカバー。そしてCharも出演、“気絶するほど悩ましい”をアコースティックアレンジで歌った後、その2組のセッションで、グループ魂初期の代表曲“チャーのフェンダー”(2004年)と、2015年に同じ作詞作曲コンビの暴動&遅刻でCharに提供した“チャーのローディー”を披露。

ご存知のように、グループ魂、古くは“竹内力”や“本田博太郎”など、最近では曲名がすべて人名の『20名』というアルバムを出しているくらい人名ネタは多いし、その『20名』のジャケにアニマル浜口と楳図かずおが出ているように、ネタにされた当人とのコラボもこれまで数多く行って来たし、ライブで「ご本人登場」的に共演したこともあるが、ミュージシャン同士として、同じ曲を一緒に演奏する、しかもテレビで、というのは、おそらく初めて。しかも曲の途中で暴動=宮藤官九郎が書いたミニコントを、Charと一緒に行うという。

観ました。《チャーのギターをダーってやりてえ》と、ギタースタンドに並んだストラトキャスターやムスタングやジャズマスターやテレキャスターを、破壊=阿部サダヲがダーってぶち倒すシーンを期待したのですが、さすがにそんなことはなく(あたりまえだ)、トークやそれぞれの演奏の後、この二者のコラボが行われた。“チャーのフェンダー”はCharのローディー視点の歌、“チャーのローディー”はChar視点でローディーに苦言する歌、という構造なのだが、この2曲を順番にやるのではなく混ぜてプレイ。で、曲の途中で演奏を止めて、Charと破壊によるミニコント、という内容でした。

で。びっくりした。演奏と歌がかっこよくて。Charがかっこいいのには当然驚かないが、その日本トップのギタリストとグループ魂が一緒に演奏して、「うわあ、さすがにレベルの差が……」みたいな按配になっていなかったのだ。序盤でチェッカーズや渋谷哲平をやってた時から「あれ? グループ魂、なんか演奏よくなってない?」と感じていたんだけど、それ以上だった、このセッション。後半ではCharのギターとバイト君のハープでソロバトルまであり。でまた、バイト君のハープ、ちゃんと「バトル」になっていた。
トークのコーナーで、Charがクレージーキャッツやザ・ドリフターズからの流れでグループ魂を語ったのもよかったし、NHKのアーカイブの中から1977年・1978年のCharの映像を観れたのもうれしかったし、ミニコントをやるというのでMCのリリー・フランキーに「何やってるんですか」とつっこまれた時のCharの返しが「だっておもしろいんだもん。つまんなかったら断るし」だったのにも、「これ最上級の回答だなあ」と感銘を受けたが、グループ魂の演奏にここまで「うわ!」と思うことになるとは。意外でした。
ってグループ魂に失礼か。いや、でも本当に。だって相手、Charだし。奥田民生斉藤和義なら、まだわかるけど。

ちなみに、最後はグループ魂だけで、9月5日リリースのニューシングル曲“もうすっかり NO FUTURE!”をプレイした。この曲、サビが《あと何回できるかな あと何回やるのかな/一回一回大事だ もうすっかりNO FUTURE!》であることがシモネタとも受け取れるが、そこ以外はそんな露骨にシモな歌詞はないのですね。テーマが「加齢」なのに。
だから、というわけでは全然ないとは思うが、それで思い出したこと。8月24日東京キネマ倶楽部にて、大人計画・宮崎吐夢のコンサート「真夏のダイエット(orリバウンド)歌謡ショー(仮)」のサプライズゲストで、阿部サダヲ、登場。で、ステージ後方のスツールに座って、吐夢さんが歌い踊るシモネタ曲を聴いたあとのひとこと。
「シモネタって、人が歌うのを聴いてると、あれだね……引くね」

もしかしたらグループ魂、転機なのかもしれません。という気もするのだった。
んなことねえよ、シングルだから放送されなくなるのを避けて宮藤さんが抑えて歌詞を書いただけだよ。という気もするが。(兵庫慎司)
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