はっとり(Vo・G)、高野賢也(B・Cho)、田辺由明(G・Cho)、長谷川大喜(Key・Cho)によるバンド、マカロニえんぴつ。aikoが自身のラジオ番組で“洗濯機と君とラヂオ”を絶賛。“レモンパイ”がTBSテレビ『王様のブランチ』の2018年10月度EDテーマに抜擢。さらに、あいみょんは今年春に行うツアーの対バン相手に彼らを選び、昨日3月6日より配信が開始されている新曲“青春と一瞬”はマクドナルドのTVCMソングとして全国でオンエア中である。
マカロニえんぴつのここ最近の勢いは凄まじい。バンド名を見かける機会が急激に増えたため、彼らのことが気になっていた人も多いのではないだろうか。
バンドの歴史は意外と長い。結成は2012年で、2015年にミニアルバム『アルデンテ』をリリース。「メンバー全員現役音大生」(※現在は卒業生)という触れ込みで全国デビューした。同作収録曲“鳴らせ”はMVが話題となり、デビューしたての新人バンドとしては異例の再生回数に。これがマカロニえんぴつにとって初めてのブレイクとなった。
最新ミニアルバム『LiKE』の“トリコになれ”では自ら《売れそうで売れない》と皮肉を込めて歌っているが、“鳴らせ”以来、マカロニえんぴつは長らく「次にくるバンド」と言われてきた。そしてまさに今、彼らは2度目のブレイクの真っ只中にいる。どうして今だったのか、というと、2017年の存在によるところが大きい。レーベルの移籍、メンバーの脱退、1stフルアルバム『CHOSYOKU』の制作――と初めての出来事が重なったこの年は、振り返ってみればバンドのターニングポイントだったように思う。それ以降、彼らが元来持つ2つの特色がより鮮やかに花開くようになったのだ。
1つ目の特色は、遊び心に満ちたバンドサウンドにある。例えば、“STAY with ME”にはMGMTへのリスペクトが色濃く反映されているし、“青春と一瞬”ではマクドナルドでおなじみのあの音が取り入れられている。歴代のロック/ポップミュージックへの敬意と独自の発明がいい塩梅で入り混じったアレンジには、音大卒ならではの素養も活かされているのかもしれない。このバンドの楽曲がどこか懐かしく、しかし新しく感じられる理由もそういうところにある。
サウンドがカラフルになるにつれて、2つ目の特色――メイン・ソングライターであるはっとりの言葉選びがより映えるようになった。はっとりの歌詞では、同じ(もしくは似たような)発音をする単語同士が近くに配置されていることが多い。例えば《鶴は千年、馬鹿は残念》(“レモンパイ”)、《傷つかないための気付かないふりばかりだ》(“ブルーベリー・ナイツ”)といった具合。語感的な滑らかさを担保しつつ、そこだけに偏重せず、ユーモアを効かせていたり、核心を端的に語っていたりするのだからすごい。全体的に、1行だけ抜き出して広告のキャッチコピーにしても遜色なさそうなほど、存在感の強いものが多く、それは韻を踏んでいないフレーズに関しても同様。彼のワードセンスは、いち物書きとして嫉妬するレベルだ。
耳にスルッと入ってくるうえに、心にズシッと残る。さらに一つひとつを紐解くと、音楽の面白さ、楽しさを再発見することができる。それこそがマカロニえんぴつの魅力である。今年春のツアーはソールドアウト続き。ライブハウスに通うような、いわゆるロックバンドファン以外にも彼らの魅力が伝わる日も近いし、もしかしたら既にそういう状況に差し掛かりつつあるのかもしれない。この機会にチェックしてみてはいかがだろうか。そしてあなただけの「音楽の楽しさ」を、ぜひ見つけてみてほしい。(蜂須賀ちなみ)
【マクドナルドCM曲も話題】マカロニえんぴつの音楽はなぜ懐かしいのに最新型なのか?
2019.03.07 18:30