米津玄師のツアーを彼の誕生日に幕張メッセで観た

米津玄師のツアーを彼の誕生日に幕張メッセで観た
米津玄師の今回のツアー「脊椎がオパールになる頃」では、彼の音楽の持つ神聖さが際立っている。
デジタルと生活が一体となった時代だからこそ、論理的なアルゴリズムの向こう側に聖性、神性、霊性のようなものを垣間見ることがある。
米津玄師はその感覚を今、最も広く鋭く音楽で伝えることのできるアーティストだ。

昨年末の紅白で、米津が徳島の大塚国際美術館、ミケランジェロの“最後の審判”の壁画が飾られたシスティナ・ホールから“Lemon”を届けたあと、司会のウッチャンが「米津さんがしゃべってる!」と思わずコメントをしていて、ひとりの素朴な青年でもある彼も知っている身としては少し不思議な感じもしたのだが、あの時のパフォーマンスもまた彼の音楽の神聖さが溢れ出したものだったから、その言葉に共感する声が多かったのだと思う。
このツアーでは、その神聖で得体の知れない巨大な存在の全貌がよりはっきりと感じられた。

しかし、そんな米津玄師のステージをアートという言葉で表現することに僕は少し抵抗がある。
米津玄師は、最初からデジタルなものの中に肉体性とかエモーションとか魂の声を自然に感じながら育った世代ならではのバランス感覚でポップソングを作っている。
だから今回のツアーの振り切った演出やパフォーマンスも、あくまでも米津玄師のポップソングを伝えるものになっている。
そのポップなバランス感覚もまた米津玄師の凄さなのだ。
それを改めて強烈に感じるツアーでもあった。

そして今日は米津玄師の28歳の誕生日。
サプライズの演出に「何かあるかもと思ってたけど(笑)」と飄々としつつ、素朴な青年としての素顔をステージで見せてくれたのも貴重だった。(古河晋)
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