【最終回ネタバレ注意】『3年A組』は今を生きる私たちに何を教えてくれたのか?

※以下のテキストでは、ドラマのネタバレにつながる内容を含んでおります。ご了承の上、お読みください。

日本テレビ系ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』の最終回が、過去最高視聴率を記録しながら放送された。今作は、菅田将暉が演じる高校教師の柊一颯が生徒29人を人質にとり、数ヶ月前に自殺した生徒・景山澪奈(上白石萌歌)の真相を探っていく物語。初回から教師が校舎を爆破して生徒たちを教室に閉じ込めるなど、あり得ない設定ながら次々と色んな登場人物に疑惑がかけられては少しずつ事件が明らかになっていく展開で、視聴者を魅了し続けた。このドラマ自体が高校3年生である彼らの卒業前の10日間のドキュメントとして語られ、なおかつシーンのほとんどが教室や校舎内でありながら、ここまで視聴者の熱気をキープし続けることができたのは何故か。それはドラマ内で「マインドボイス」という名のSNSを上手く使った演出によるライブ感と、視聴者もそこに参加して翻弄されるようなエンターテインメント性の高さもひとつの要因だろう。

「SNSによる暴力を世に知らしめること」――それが柊先生が立てこもり事件を起こした理由のひとつ。フェイク動画を見ただけで証拠もないのに犯人だと決めつけ、誹謗中傷を浴びせかける「マインドボイス」のユーザーたち。いかに自分たちが不確定な情報に踊らされているかを、彼は命をかけて10日間の中で示してみせた。最終話では校舎の屋上で柊先生がひとりで「マインドボイス」を通じてライブ配信をした。画面の向こう側にいる不特定多数の匿名ユーザーたちに向き合い「言葉は時として凶器になる」と訴えた、7分にも及ぶシーンは忘れられない。画面に次々と投稿される心ない文字の隙間から「お前に言ってんだよ!」と泣き叫ぶ様は視聴者の心をも大きく揺さぶった。

そして景山澪奈が飛び降り自殺をした際に、その手を離してしまった茅野さくら(永野芽郁)の後悔を、これまた命がけで柊先生が救う。屋上から身を投げた先生の手を掴み、2度とこの手を離すまいと力を込めた茅野に、クラスメイトたちが次々と駆け寄って先生を引きずりあげたシーンはこのドラマ最大の見せ場となった。最後まで生徒たちにこのままではいけないと訴え続け、ひとりひとりの心を救済した平成最後の熱血教師。彼が病でこの世を去った後も、この小さな革命は彼女たちの心の中で「明日を生きる活力」になっていくのだろう。ザ・クロマニヨンズによる主題歌“生きる”も、このドラマの一見ハチャメチャながらストレートで熱いメッセージと彼らの青春の日々に力強く寄り添っていた。(上野三樹)
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