サーフ・ロックの先駆者として知られるギタリスト、ディック・デイルの訃報を受け、これまでにデイルの“Misirlou”をたびたびカバーしてきたジャック・ホワイトや、クイーンのブライアン・メイ、スラッシュが追悼のコメントを寄せている。
SNSを通して発表されたコメントは以下の通り。
「信じられないほど偉大なギタリストであるディック・デイルの訃報を聞いて悲しくなった。自分の部屋で、彼の激しくリバーブが効いたギターリックを何度も学ぶことに費やしたし、思いついた時に彼の曲“Nitro”を演奏するのを今でも楽しんでる。悲しいことにディックと会うことはなかったけど。
ピックが溶けるようなスタイルと限りなく存在感がある態度を兼ね備えた、ユニークなギターの革新者だった。16歳の時に、ポンティアックに乗ってデトロイトから彼のライブを観に行ったのを覚えてるよ。左利き用の金色にキラキラ光るあのフェンダーを、どこか特
別な場所に飾ってくれ。ディック・デイル、キング・オブ・サーフ・ギター。ジャック・ホワイト三世」
「安らかに眠ってくれ、サーフ・ギターの父、ディック・デイルよ。すべて君のおかげだよ。
彼のギターの弦の張られ方を見てよ! 彼は左利きだったけど、 コントロール・ノブを触ったりする以外は右手でギターを引いていた。フレットボードの下端に重低音の弦があったんだ。つまり誰も、彼の指の形を真似することはできないということなんだね。
これが周りの誰よりも、彼が力強い低音を弾けていた理由なのかもしれない。でも、彼の非常に独特なサウンドは、高速で上下移動する指使いから来ているんだ(時々、「トレモロ」っていう、スペインの伝統的なフラメンコ・ギターのテクニックと勘違いされることもあった。指の爪を使って演奏するもので、本当は全然違う方法なんだけど)。
あと、エコーをよく使ってた、太い弦も。あと、たくさんのエネルギーも! 彼の初期作品“Miserlou”をきいてみてよ! かっこいいよな。彼に会ってみたかった。彼の先駆的な音楽から、僕たちはみんな影響を受けているよ」
デイルは現地時間3月16日の夜、81歳で逝去。1962年に米テレビ番組「Ed Sullivan Show」でギリシャ民謡“Misirlou”を自身のバージョンで披露した後、30年以上が経ち、クエンティン・タランティーノ監督による映画『パルプ・フィクション』のオープニングで同楽曲が使用されたことで一躍有名となった。
なお2012年に「Vice News」が行なったインタビューでは当時75歳だったデイルがガンと糖尿病の闘病について語っており、医師の忠告に反して演奏を続ける理由を次のように話していたという。
彼らは2度とステージに上がってはいけないと言うんだ。演奏すべきじゃないってね。でも僕の体のために必要な医療費が月3000ドル以上もかかるんだよ。