山本彩の新シングル『イチリンソウ』にはソロアーティストとしての衝動的決意が詰まっている

山本彩の新シングル『イチリンソウ』にはソロアーティストとしての衝動的決意が詰まっている - 『イチリンソウ』通常盤『イチリンソウ』通常盤
昨年、NMB48を卒業した山本彩が力強く羽ばたこうとしている姿が刻まれているのが、ユニバーサルミュージックへの移籍第一弾シングル『イチリンソウ』だ。グループに所属していた頃からソロ作品をリリースしていた彼女だが、ますます熱い意欲に燃えていることが、作詞作曲を彼女が手掛けたタイトル曲“イチリンソウ”を聴けばよくわかる。亀田誠治のサウンドアレンジとプロデュースによって瑞々しい輝きを帯びたこの曲が描いているものは、端的に言うならば、「ひとりで咲き誇る」という決意だ。それがグループを卒業して、ソロアーティストとして歩き始めている彼女の実像と重なることは言うまでもない。そして、「ひとりで咲き誇る」が、「他者の拒絶」や「仲間と共に歩んだ日々の否定」では決してないのが、この曲の魅力の本質と言うべきだろう。


集団に身を置くというのは、必ずしも「個」を捨てることを意味しない。魅力的な仲間たちに囲まれる環境は、むしろ自分の存在意義の模索を激しく促してくるからだ。「この集団の中で自分が果たせる役割、自分だからこそ示せる輝きとは一体何なのか?」と自問自答し続ける日々は、ひとりの人間を劇的に成長させる。彼女にとってNMB48は、まさしくそういうグループだったのだろう。換言すれば、NMB48というグループでの活動は、山本彩という「個」を彼女に自覚させて、ソロアーティストとしての活動を決意させたということなのだと思う。何かを断ち切って新しい世界へと飛び込むのではなく、歩んできた道のりを大切にしながら進む先にあるはずの未来を見つめている“イチリンソウ”は、とても力強いと同時に優しい。《また次の春が来たら あなたに会いたい/その時は今よりも 強くなった僕だ》というエンディングのフレーズは、彼女の凛々しさの核にある温かさに触れさせてくれる。

寺岡呼人のプロデュースで爽やかなバンドサウンドに仕上がっている“君とフィルムカメラ”、ライブメンバーの「チームSY」でレコーディングした“Are you ready?”――カップリングの2曲も、彼女の魅力を存分に伝えてくれる。今作の全曲が彼女の作詞作曲だが、柔らかな歌声がナチュラルに活かされているのを感じる。そして、彼女がレコーディングでギターを弾いているのも注目させられる点だ。以前からライブや歌番組などでギターを弾きながら楽しそうにしていた彼女の姿は、みなさんの印象に深く残っているのではないだろうか。レスポール・スタンダード、ポール・リード・スミス、フライングV、マーティンのアコースティックギター……などなどを手にしていたことを、私もこの文章を書きながら思い出した。ギターが好きな人ならば、「いい趣味してる! 俺も欲しい! 弾いてみたいぞ!」と思わざるを得ない楽器を選んでいるところから判断すると、彼女はどう考えてもギターが大好きな人物だ。そういえば……グレッチのホワイトファルコンⅡのダブルカッタウェイ、たしかビグスビーのワイヤーアームが付いている仕様のものを楽器店で購入している姿を、私は何かのテレビ番組で観たことがある。あの時の実に嬉しそうな表情は忘れられない。自身が弾いた音と共に歌声を響かせ、手にした楽器から広がるはずの可能性にときめくというのは、ミュージシャンを永遠に支える頼もしい衝動だ。それをちゃんと持っている山本彩は、今後も素敵な活動を繰り広げるに違いない。(田中大)
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