flumpoolが復帰作“HELP”で伝えた「助けを求める勇気」はあなたに歌われている

flumpoolが復帰作“HELP”で伝えた「助けを求める勇気」はあなたに歌われている - 『HELP』『HELP』
flumpoolの最新シングル表題曲“HELP”のミュージックビデオが先日公開された。この曲が収録されたシングルは、山村隆太(Vo)の歌唱時機能性発声障害により活動休止していたflumpoolの復帰作。収録曲は4曲全て山村が作詞、阪井一生(G)が作曲を行っており、特にこの“HELP”の歌詞には、山村が発声障害になった際の葛藤が赤裸々に綴られている。


全編屋久島で撮影されたという“HELP”のMVでは、大自然の中にいる山村の姿が捉えられている。シンセで作ったというキラキラした音色のリフや、タムによるどっしりとしたリズムが印象的なこの曲のサウンドにマッチした映像だ。

大木を見上げたり(0:30~)、非常に高い木の横に腰かけたり(0:47~)、大きな岩の隣に横たわったり(2:55~)――といった山村と大自然の触れ合いを捉えることにより、このMVでは人間と大自然の対比を通じて「ミクロとマクロ」の対比を浮き彫りにさせている。そしてこの「ミクロとマクロ」という視点は“HELP”という曲の在り方そのものに関わってくるポイントである。

先述のように、元々この曲は山村の心の中にある葛藤、つまりごく個人的な感情から始まった曲だ。しかし同時に、この曲を聴いた人や、まだ見ぬリスナーに、助けを求める勇気を持ってほしいのだと伝えるために作られた曲でもある。終盤では《自分(きみ)を守るため》というフレーズが登場するし(「自分」というワードに「きみ」というルビを振っているのが重要なポイント)、その直後、3:32から始まるラストのサビでは、これまでずっと横を向きながら歌っていた山村がカメラ目線になる。その歌は、紛れもなくあなたに向けて歌われている。それらは、この曲が独りよがりな内容に終始していないからこそ映える演出だ。

アーティスト個人の内的葛藤というミクロ的なものを基点に、大衆というマクロにきちんと届くような曲を書くことができたのは、ポップフィールドで戦ったり、それを経てまた、自分たちらしさを取り戻すための別の戦いをしたり……という風に歩んできたこのバンドならではの強みだと思う。ちなみに今回のシングル、カップリングの3曲も素晴らしいので(MVはないが)、音源でぜひチェックしてみてほしい。(蜂須賀ちなみ)
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