フランプールのニューシングルは、人気マンガ『君に届け』の実写映画の主題歌。青春映画にぴったりな、爽やかなストリングスがイントロから疾走する。丁寧で繊細な、情景描写と心象描写がキラリと光りつつ、思いがぐんぐん高まっていく歌詞が、まっすぐ届く。

目を見開き、相手を見るのではなく、《僕は目を閉じて　君との未来を　想い描く》。がっちりと側にいるのではなく、《もしも悲しみに包まれたなら　僕は　今すぐ　君に逢いにゆくよ》。そして、《届け　今　届け　君に言えずにいた「I love you」》と願う。心地好い距離感からずっと見守ってくれているような安心感が、フランプールの曲にはある。それが、聴き手ひとりひとりの物語にそっと寄り添う優しさとなり、出口の見えない時代において大きな共感を呼ぶ、ささやかだが確かな光を掴むラブソングとして、とても有効だ。

カップリングのピアノバラード“僕の存在”は、恋人と別れた女性を慰めながら、その女性への思いがもやもやと高ぶるけなげなラブソング。山村隆太の本質がぎゅっと出た新曲2曲だ。（小松香里）