【ロッキング・オンを読む】2020年の日本公開が待てない! ドキュメンタリー映画『アズ・イット・ワズ』世界プレミアを観た!

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2017年のリアム・ギャラガーのソロ第1弾『アズ・ユー・ワー』のリリースと大反響、そして「誰も予想していなかった奇跡的な大復活!」は今も我々の記憶にまざまざと刻み付けられている。ビーディ・アイ後期の活動不振と空中分解、米ジャーナリストとの不倫発覚事件、さらに元妻ニコル・アップルトンとの悲惨な離婚訴訟騒ぎのダブル&トリプル・パンチを食らい意気消沈していた復活前のリアムは、表舞台から身を引き半引きこもり状態。ほぼ連日のように「オアシスを解散させた兄ノエルへの悪態」をツイッターで吼え、たまにタブロイド紙で面白おかしく書きたてられる「落ちぶれた元スター」 としてカリカチュアされたリアム像は見ていてつらいものがあった。

そんなメディアだけではなく、オアシス期からのダイ・ハード信者でさえ「もうダメかも……」と思い始めていた矢先のあの大復活。渾身のパンチ一発でアンチを黙らせ、世界中のファンを狂喜させたリアムの初ソロ・アルバムは、それまで彼を「終わった人」扱いしてきた世間に対する、我々ファンにとって、胸のすくようなリベンジでもあった。

あれから約2年、待ちに待ったソロ第2弾『Why Me? Why Not.』のリリースが遂に発表! 新作からの1stリード・シングル“Shockwave”公開に先駆け6月6日、そんなリアムの過去数年の「葛藤」を追う新ドキュメンタリー映画『アズ・イット・ワズ』のワールド・プレミア上映イベントがロンドンで開催! 北ロンドンの閑静な地区にある会場アレクサンドラ・パレスの前には場違いなほど華やかなレッド・カーペットが敷かれ、この様子をいち早く目撃しようと駆けつけたパパラッチや世界中のメディア陣やファンが大挙。当夜の主役リアムももちろん登場! レッド・カーペットに現れた瞬間どっと押し寄せたパパラッチによる目が眩むようなフラッシュの嵐を浴び、スター・オーラを目いっぱい撒き散らしていた。

当日のリアムは明らかに上機嫌で、なんと上映前の監督の挨拶スピーチにも現れ、「リ~アム! リ~アム!」コールを上げるファンと気さくなやりとりをするなどファンへも大盤振る舞い。ここに辿り着くまでの「苦悩の4年間」を記録したこの映画をこんな晴れやかな場で発表できるなんて、今の自分への感慨も一際だっただろう。

ここで映画の概要を書いておくと、「2009年のパリ公演中に 楽屋裏で始まった“いつもの兄弟ゲンカ”がエスカレートしてノエルが突如脱退!→オアシス解散!」に 至るあの事件から幕開け→バンド内のトラブルが続き解散に至ったビーディ・アイの後期。それに追 い討ちをかけるように起きた元妻ニコル・アップルトンとの離婚訴訟騒ぎ→自身の未来に絶望し音楽を断念。その後数年は兄ノエルへの鬱憤をツイッターでぶちまけるのが日課の“SNS依存症の世捨て人”に。

そんなリアムの姿を見て「別に人が死んだわけじゃない。これで本当に諦めるつもりなの?」 と励ます恋人&マネージャーのデビーや家族や友達に鼓舞され初ソロ用の新曲を書き始める→その後メジャーと契約し初ソロ作『アズ・ユー・ワー』を発表してオアシス期以来9年ぶりの全英1位をゲット! 発売1週間で10万枚以上!もの特大セールスを記録し、翌夏のフィンズベリー・パーク・メガ・ライブを大成功させるまでを追っていくこのドキュメント作。

あの「人前で決して弱味は見せないビッグ・マウス」で有名なリアムが、驚くほど正直に自身の「苦しかった時期」を告白していく感動的な映画になっている。「キッズはみんなリアム・ギャラガーになりたがる。だけどノエル・ギャラガーになりたがるキッズなんていない」と誰かが言っていたけど、「カリスマ不在」な今の音楽シーンだからこそ誰もがリアム・ギャラガーの復活を熱望していたんだな、と確信させられた映画でもあった。

当日のイベン トには朋友リチャード・アシュクロフトや元オアシスのボーンヘッド、カサビアンのトム・ミーガンや プライマルのボビー・ギレスピー(あなたはノエルのマネージメントに所属する“ノエル側の人”だったのでは……?)も出席していた。さてはボビー、「ちょっと様子を見てこい」というノエルの差し金だったな(笑)。 9月20日に正式発売!が発表されたばかりのソロ最新作から来年にかけて、リアム祭りが止まらない。 児島由紀子

2020年公開 配給:ポニーキャニオン @2019 ALTITUDE FILM. ALL RIGHTS RESERVED.



この記事はトム・ヨークが表紙巻頭の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。
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