UVERworldはなぜ折れることなく走り続けられるのか――5つの強靭な柱について

UVERworldはなぜ折れることなく走り続けられるのか――5つの強靭な柱について
先頃には、TVアニメ『七つの大罪 神々の逆鱗』オープニング曲としてニューシングル『ROB THE FRONTIER』を10月16日(水)にリリースすることや、ニューアルバムツアーの一環として行われる12月21日に誕生日を迎えるTAKUYA∞(Vo・Programming)の生誕祭は横浜アリーナでの「男祭り・女祭り同時開催」になることなど、大きなニュースを連発しているUVERworld。新章へと向かおうとしている彼らは、今後のさらなる驚きと喜びをもたらす期待感を募らせてくれているわけだが、彼らが大きな支持を獲得してきた結成19年の歩みは、一体どのような強靭な柱となる活動姿勢に裏付けられてきたのか。本稿では、それを5つのテーマに分けて、考えてみたい。

①ライブハウスこそ主戦場

UVERworldが初の日本武道館ワンマンを開催したのはメジャーデビューから3年後の2008年、初の東京ドームワンマンは2010年のことだ。以来、ホール/アリーナクラスのツアーを当たり前のように続けているわけだが、一方で彼らはライブハウス公演を毎年スケジュールに組み込んでいる。この2019年も、2月から3月にかけてのツアーはライブハウスで行われたし、今後の9月25日生まれの誠果(SAX・MANIPULATOR)や11月5日生まれの真太郎(Dr)の生誕祭もライブハウス公演だ。採算面だけを考えれば、大会場で多くの来場者を迎えた方がずっと効率が良いに決まっている。しかし、至近距離のコミュニケーションと熱狂を見失わず、それをアリーナや野外フェスのフィールドに持ち出すところに、UVERworldのライブにかける一貫した拘りがある。

②剥き出しの魂で言葉を紡ぐ

反骨精神というのは、UVERworldの、ひいては作詞を担当するTAKUYA∞の根源的な表現動機に直結するものだ。痛みや生き難さを抱え込んだ人々に呼びかける作風はデビュー時からずっと変わらず、それと同じだけの熱量をもってラブソングを綴り、ときにはバンド活動の前に立ち塞がるリアルな困難すらも“NO.1”や“誰が言った”、“ENOUGH-1”といった熱いナンバーへと落とし込んできた。聴く者を体当たりで挑発し、鼓舞するその言葉選びは、TAKUYA∞の死生観が込められた“7日目の決意”を持ち出すまでもなく、まさに命の瞬きであり躍動そのものなのである。


③拡大し続ける「男への挑戦」

今冬に行われる東京ドーム2デイズのうち、12月20日(金)は念願の東京ドーム「男祭り」となった。ここで履き違えてはいけないのが、そもそも「男祭り」とは「男贔屓」ではなく「男への挑戦」のための企画だったということだ。ライブのMCでは、かつてUVERworldを支えるファンは大半が女性だったことや、2012年の「男祭り」(ファンクラブ会員限定)でチケットが余った悔しさなどがしばしば語られる。男性リスナーにも認められたいという反骨精神が、UVERworldを衝き動かす大切なモチベーションとなっていたわけだ。周知のとおり、男crew(ファン)との約束である東京ドーム公演は、「KING’S PARADE 2019 男祭り FINAL」と銘打たれた。男への挑戦の季節は、公演タイトルどおりにいよいよ一旦の節目を迎えるのだろうか。その点も含めて楽しみだ。

④SNSも駆使して人間力を伝える

これは長いキャリアというよりも現在進行形のテーマなのだが、TAKUYA∞は今年5月から12月21日(土)(つまり自身の生誕祭当日)までという期間限定でインスタグラムのアカウントを開設している。「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO」の出演直前に48分の車移動(自身の運転)を見せてギリギリでステージに飛び込んだり、「MONSTER baSH 2019」ではバーベキューコンロで焼いたピーマンをダッシュでマキシマム ザ ホルモンにデリバリー→そのままUVERworldの出番に躍り出るといった、いわゆる癖強登場動画が笑える。ファンに距離を感じさせない彼の姿勢は、SNSでも健在といったところだろうか。


⑤新たな音の開拓を止めない

最後はやはり、UVERworldの音楽性の飽くなき進化について触れないわけにはいかない。熱いメッセージを胸に響かせるためには、胸に響く斬新なサウンドがいつでも必要不可欠だった。2017年のアルバム『TYCOON』以降も、コンテンポラリーなR&B/ヒップホップや、ポストEDM時代のロックサウンドを開拓し続け、世界にも類を見ない驚くべき楽曲の数々を生み出している。そのハングリーなミクスチャー感覚は、衰えるどころか勢いを増すばかりだ。何よりも、11月からはニューアルバムのツアーが予定されているということで、新作アルバムの報も今か今かというところ。2019年後半のUVERworldは、目を離す隙を与えてくれなさそうだ。(小池宏和)
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