3枚アルバムを出したところで、怖くなってきたんだ。少しプロっぽくなりすぎているように思えてね。何年か時間を取って、もう一度アマチュアの時のような気持ちに戻って、いろいろやってみることが僕には必要だったんだ
本号巻頭特集にもピックアップされているヴァンパイア・ウィークエンドだが、ここでは昨年のグラストンベリー・フェスティバル期に英『ガーディアン』に掲載された貴重なインタビューをお届けする。
話題の中心は最新アルバム『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』に関することとはいえ、バンドのイメージの内実から始まり、エズラ・クーニグが文化盗用やアイデンティティ問題、メンタルヘルスといった実に「今」な幅広いトピックまでオープンに語っていて読み応えがある。またこれらの発言から、00年代半ばのアメリカで起こり10年代音楽メディアの主流となったポップイズム(あるいはポプティミズム)の動きの大きさも見て取れる。
大雑把に言えばこのトレンドは「ロック=真性VSポップ=作り物」なる伝統的な批評軸の転換の試みで、インディーご意見番として始まった『ピッチフォーク』もビヨンセやドレイクを真剣に論じるようになった。そこから生じたよりインクルーシブで開けた音楽の地平に抜けることができた、自覚的なバンドのひとつがヴァンパイア・ウィークエンドだったことになる。(坂本麻里子)
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