Eveの『Smile』を聴いてアルバムに求められる物語性の次元が変わったのを感じた

Eveの『Smile』を聴いてアルバムに求められる物語性の次元が変わったのを感じた - 『Smile』2月12日発売『Smile』2月12日発売
特にここ1年ぐらい、アルバムの持つ意味が変わったと感じることが増えた。
BUMP OF CHICKEN『aurora arc』、Mrs. GREEN APPLE『Attitude』、Official髭男dism『Traveler』、King Gnu『CEREMONY』、そしてEve『Smile』。
たくさんのタイアップ曲や配信などでの既発曲を含み、既にそのアルバムを構成する楽曲が聴き手の中に体験として根付いているのだが、それがアルバムとして有機的に論理的に運命的に結び付いて一つの生命として呼吸を始めた時、改めて自分の中でそれらの楽曲が体験として存在したことの意味がわかる。
その存在の意味を知る驚き、感動、快感の連続によって、居場所のなかった自分の心があるべき場所にピタッと収まったような感覚がある。
だからパッケージとして、自分が生きている意味が形を持った物語として、自分の傍にあってほしいと思える。
それが今、アルバムとして存在する意味を強く感じさせる、真の意味でのアルバムなのだと思う。

今までEveの音楽が自分の心の近いところにあったからこそ“白銀”の鮮烈な突き抜け方は衝撃だった。
そして“心予報”のポップな突き抜け方は「本当にEveか?」とまで思った。
この2曲は自分にとって強烈な体験になったけれど、楽曲単体だけだとあるべき場所にピタッと収まる感覚はまだなかった。
それが『Smile』というアルバムを聴いて、その上下左右前後表裏陰陽に何があるかの全貌が見えた時にすべてがピタッとはまった。
“白銀”が、“心予報”が自分の中の何を揺さぶっていたのかがはっきりとわかったし、“闇夜”が自分の中の何を疼かせていたのかもわかったし、何よりも『Smile』というアルバムがどの1曲が欠けても、いつか死んでしまう自分を生かす物語として成立しないことがよくわかった。

そんな物語を音楽によって、社会と臆せず繋がるポップ・ミュージックによって、一つの生命のようなアルバム作品によって正直かつ自然かつ肯定的に紡げるソングライターとして、Eveは最強の存在の一人として数えられる。(古河晋)
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