Uruの歌が私たちと「物語」を優しく繋ぐ理由――『テセウスの船』『中学聖日記』『コウノドリ』など

Uruの歌が私たちと「物語」を優しく繋ぐ理由――『テセウスの船』『中学聖日記』『コウノドリ』など
ドラマも終盤に突入し、「もうちょっとで真犯人がわかりそう!」、「黒幕って誰!?」と今後の展開が気になって仕方ないTBS日曜劇場『テセウスの船』。同タイトルの漫画を原作にした今作は、平成元年にとある小学校で起きた謎の大量殺人事件を機に、犯人の息子である田村心(竹内涼真)が父の冤罪を晴らすために立ち上がる。優しく家族想いだった父が殺人なんてするはずがないと、謎を解き明かそうとするうちに事件直前の平成元年にタイムスリップしてしまうエンターテインメント性のあるミステリーとして視聴者を魅了している。心の父親に鈴木亮平、母親に榮倉奈々など豪華なキャスティングが揃い、加害者家族が事件後に辿った悲痛な運命と、事件の前にあった家族の絆と温かさ、その両方がくっきりと描かれているのも見どころだ。

そんなドラマ『テセウスの船』の主題歌はUruの“あなたがいることで”。Uruといえば、ドラマ『コウノドリ』(2017年の第2シリーズ)では“奇蹟”を、ドラマ『中学聖日記』(2018年)では“プロローグ”と、人気ドラマに寄り添った主題歌を生み出してきたことも記憶に新しい。『コウノドリ』では、母と子を取り巻くシリアスな状況が描かれることが多い中、そこにある愛と願いを“奇蹟”で光を照らすように歌い、また『中学聖日記』の“プロローグ”では、先生と生徒の禁断の恋だけれども止まらない愛おしさを加速させるような熱気でドラマに寄り添った。

『テセウスの船』では、いつも大切な場面で主題歌“あなたがいることで”が流れる。4話の再び現代にタイムスリップしたパートで、週刊誌記者の田村由紀(上野樹里)が被害者の会の壇上で、裁判で明かされなかった真実はなかったのかと心のために必死に訴えかけるシーンや、7話で事件直前に家族みんなでタイムカプセルを作ろうと心が手書きの家系図に想いを込めていたシーンなど、忘れられない名場面ばかりだ。《もしも明日世界が終わっても/会えない日々が続いたとしても/僕はずっとあなたを想うよ》と、この歌は心をはじめとする家族が未来に立ち向かう強さをしっかりと映し出す。どんなに理不尽なことがあっても、どんなに困難なことがあっても、ここに確かに人と人との大切な繋がりがあるんだと、それは時をも超えることができるのだと、主題歌“あなたがいることで”は伝えている。Uruの作る楽曲とその歌声は、いつもふんわりと心地良いミストのような質感でドラマを包み込みながら、作品の本質を的確に射抜く。Uruは、もともと様々な名曲をカバーした動画をYouTubeにアップしたことでデビューを掴んだアーティストだが、これらの主題歌やセカンドアルバム『オリオンブルー』(3月18日発売)でも多彩なアプローチで繊細な感情を歌うソングライターとしての実力を惜しみなく発揮している。主題歌“あなたがいることで”に込められた祈りは、ドラマの登場人物たちに幸せをもたらすことができるのか、見届けたい。(上野三樹)

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