「99%のロックンロール・バンドとは、同じ仲間に入れられたくないね」(カート)
この記事は、1991年9月にアルバム『ネヴァーマインド』がリリースされて約1ヶ月後に出たものだ。
執筆者のエヴァレット・トゥルーは、翌年にレディング・フェスで、カート・コバーンが登場する時に乗った車椅子を押していた人物。バンドから信頼を得た記者の1人だが、ここでは、日増しにエスカレートする破壊的なふるまいへ批判的な視点を示したり、カートにとってタブーであるオリンピア・シーンとの関係について切り込んだりと、ジャーナリスト魂を発揮してみせている。
尊敬するソニック・ユースに誘われてメジャー契約を果たし、世紀の名作『ネヴァーマインド』をレコーディングしていたころが、おそらくニルヴァーナの短い歴史の中で最も幸福な季節だっただろう。
その直後の時期におけるバンドの様子を今、あらためて読んでみると、環境の変化が押し寄せつつある中、すでに彼らが違和感を表明し始めていたことがわかる。
この記事からは、劇的な事象が起こる前の初期段階での微妙な軋み、漠然とした不安と緊張感が伝わってくると思う。そしてニルヴァーナは、このあとたった2年半で崩壊してしまった。 (鈴木喜之)
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