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ジム・ケルトナー
ジム・ケルトナーといえば、スタジオ・ドラマーとして、70年代以降のアメリカのポップ・ミュージック全般を支え続けた職人中の職人。60年代からジャズ畑で頭角をあらわし、元ビートルズたちのソロ・アルバムへの参加で名を上げ、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン、トム・ペティ、ニール・ヤング、ランディ・ニューマン、ジョニ・ミッチェルなど、彼と共演したアーティストは枚挙に暇がない。
そのプレイ・スタイルは、ボーカリストを引き立て、歌の良さ、曲の良さを際立たせる、堅実な歌伴プレイと言える。シンプルで寡黙で、決して手数が多くはないがツボを押さえたプレイは、まさに縁の下の力持ちと言えるもの。
だがジムには同時に実験精神に富んだアーティストとしての側面もある。その意味では、ライ・クーダーの諸作でのプレイこそが、ジムの本領発揮と考える。あらゆるルーツ音楽を貪欲に取り込み、それにとどまらず世界各国のさまざまな音楽を糾合して豊かで幅広く奥深い「アメリカン・ミュージック」を作り続けるライにとって、どんな音楽スタイルにも対応する職人肌でありながら創意工夫に富んだプレイでリズムの可能性を追求するジムのプレイは、欠くことのできないパートナーなのだ。『チキン・スキン・ミュージック』は、その最良の成果。素晴らしく美しく豊かな音楽である。(小野島大)
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