負の感情をエネルギーに変換して「時代の叫び」を突きつける――
“うっせぇわ”を生み出したsyudouのすべてに迫る!
文=小池宏和
Adoに楽曲提供した“うっせぇわ”によって、一躍シーンの台風の目と化したsyudou。その大胆なまでにチャレンジングな音楽性と、生々しくダークなマインドが完璧に融合したこの曲は、若い世代から世に突きつけられる「時代の叫び」に他ならなかった。なぜ、syudouはこんな楽曲を作ることができたのだろうか。ボカロPとして大きな支持を集めるだけにはとどまらず、今のsyudouは自らの声で歌うシンガーソングライターでもある。抑えきれない衝動と高度な戦略性を併せ持ち、また人と社会の暗部を抉る孤独な視点とは裏腹に思えるような、陽気で憎めないバイタリティ溢れる人柄を備えたsyudou。その個性を定義しているのは、ある意味で人間のもっともらしい、人間らしい二面性である。彼はどこからやってきて、どこに向かおうとしているのだろうか。本稿では、まさにDIYの姿勢のまま、世間を震撼させたこの気鋭アーティストのルーツを辿り、自己表現の根本的な動機を探ってみたい。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年7月号より抜粋)