ピンク・フロイド『原子心母』の箱根アフロディーテ50周年盤、8月リリースへ! 無双のバンド・グルーヴを極めつづけた物語がリアルに蘇る

ピンク・フロイド『原子心母』の箱根アフロディーテ50周年盤、8月リリースへ!  無双のバンド・グルーヴを極めつづけた物語がリアルに蘇る

ピンク・フロイド初来日50周年の今年、とうとう『原子心母(箱根アフロディーテ50周年記念盤)』のリリースが決定した。その肝は<DISC 2>に収録された映像コンテンツ“原子心母(箱根アフロディーテ1971)”だ。この映像のコピー版は昨年12月からバンドの公式YouTubeにアップされているが、かなり劣化が激しくメンバーの表情すら朧げだ。

一方、この16㎜マスター・フィルムはずっと行方不明だったのが2018年に再発見された後、3年がかりで1コマ1コマをデジタル化&ノイズ除去、音源リマスターなどを重ねた末に、今ようやくフロイド側からリリース許諾を得るに至ったのだ。

これがYouTube版と同じ映像なのか?!と唖然とする鮮明度であり、同曲冒頭のあのバイクのSEが轟いた瞬間、日本初となった伝説の野外ロック・フェス「箱根アフロディーテ」の時空に引きずり込まれていく。画期的なのは、この究極鮮明化映像によって彼らの進化のプロセスが決定的に実証されたことだ。

ピンク・フロイドというバンドはプログレ最大の覇者であるにも拘らず、演奏スキルそのものは高く評価されてこなかった。しかし、単純な個々のスキルを超えた奇跡的なバンド・グルーヴを生み出していたことはもっと評価されるべきである。

シド・バレットという「狂気そのものと心中した凄まじいペルソナ」を憧憬しつつ、その狂気に取り殺されず冷徹に狂気を操るサウンドを追い求めた果てに、誰にも追随できないサウンドスケープを極めた。それは、イージー・リスニング的に聴き流せてもしまえるがゆえにリスナーの潜在意識にすっと入り込み、じわじわと脳細胞を犯していくのだ。

彼らはこの年、前衛音楽家ロン・ギーシンが革新的オーケストレーションを施した“原子心母”に対峙して、4ピースのみで「ギーシン版」をいかに乗り越えるかを探っていた。箱根の「剥き身の“原子心母”」が鮮明化されたことで、我々は、そんな無双のバンド・グルーヴが磨かれていく物語へリアルに同化できるようになった。

そして、この先に産み落とされたのが“エコーズ”であり、聴き浸ったら確実に「頭のネジ」を一本持っていかれるフロイドの奥義が顕現していくのである。 (茂木信介)



ピンク・フロイドの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ピンク・フロイド『原子心母』の箱根アフロディーテ50周年盤、8月リリースへ!  無双のバンド・グルーヴを極めつづけた物語がリアルに蘇る - 『rockin'on』2021年8月号『rockin'on』2021年8月号

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