偉大なる父の背中を追いかけ、レノン・ギャラガーの「オートモーション」が満を持してデビュー。ハイセンスな音楽DNAを感じさせる1st EPを武器に、新世代バンド・シーンの頂点を目指す!

偉大なる父の背中を追いかけ、レノン・ギャラガーの「オートモーション」が満を持してデビュー。ハイセンスな音楽DNAを感じさせる1st EPを武器に、新世代バンド・シーンの頂点を目指す!

揃いも揃って凛々しい極太の眉毛を持ち、強力なDNAの介在を感じずにはいられないギャラガー兄弟の子供たち。中でも眉といい、なで肩といい、鋭い眼光といい、全身から醸し出されるふてぶてしいオーラといい、父リアム・ギャラガーのカリスマ性を直流で受け継いでいるのが長男のレノン・ギャラガーだ。

そんなレノンがギター・バンド「オートモーション」を結成、いよいよ本格的に音楽の道を歩み始めた。ジョン・レノンからその名を授かったロックンロール界のサラブレッドであるレノンだが、彼はもともと音楽よりも母のパッツィ・ケンジットのようにカメラの前に立つ職業に意欲を示しており、近年では錚々たるハイブランドの広告にも抜擢されるなど、着実にモデルとしてのキャリアを築いてきた。むしろ最初からバンド活動に熱心だったのは次男のジーンのほうだったりする。

でも、やっぱり血は争えないということなのだろう。「息子たちはそれぞれ全然違うタイプのバンドをやっている」とリアムが明かしたのが一昨年のことだが、6月にリリースされたオートモーションのデビューEP『イン・モーション』を聴くと、確かにレノンのやろうとしているのは親父とも弟(ジーンのバンドはアークティック・モンキーズ的だとか)とも全く異なる音楽だということがわかる。

ダダイズム、はたまたロシア構成主義を思わせるジャケットからしてアーティーな香りがプンプンするが、静寂と爆音の間でじわじわと醸成されるサッドコア風のノイズ・ギターや、酩酊を誘うギター・ループを追いかけるもろにルー・リードな念仏ボーカル、クラウトロックの影響が色濃いポリリズムなど、サウンドもまさに一癖も二癖もあるエクスペリメンタルなそれだ。

つまりかつてのリアムだったら「しゃらくせえ」と速攻でディスっていたタイプの高踏派インディ・ロックをやっているわけだが、今の彼にとってはギター・ミュージックに高い理想を託し、ひたむきに自己探求する息子の姿は思いっきり誇らしいはず。ギャラガー家の新世代への期待にとどまらず、半年後、1年後が楽しみな高ポテンシャルのUKバンド新世代としてフェアに注目していきたいところ。(粉川しの)



オートモーションの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

偉大なる父の背中を追いかけ、レノン・ギャラガーの「オートモーション」が満を持してデビュー。ハイセンスな音楽DNAを感じさせる1st EPを武器に、新世代バンド・シーンの頂点を目指す! - 『rockin'on』2021年8月号『rockin'on』2021年8月号

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