映画『平場の月』は、「第32回 山本周五郎賞」を受賞した朝倉かすみによる、2018年刊行の発行部数20万部を超える同名小説を実写化した作品。お互い独り身となった中学時代の同級生ふたりが再会し、離れていた歳月を埋めながら心を通わせていくラブストーリーとなっている。妻と別れて地元に戻り、印刷会社に再就職して慎ましく平穏に生活する主人公・青砥健将を堺雅人、青砥が中学生時代に思いを寄せていた須藤葉子を井川遥が演じる。ふたりの中学生時代を坂元愛登と一色香澄が演じ、監督を土井裕泰、脚本を向井康介が務める。
YouTubeでは“いきどまり”を使用した映画の予告編を公開している。
【星野源 コメント】
ある日、土井監督と那須田プロデューサーが「直に話したい」と僕の作業場まで来てくれました。映画『平場の月』の主題歌を制作して欲しいというオファーでした。今まで何度もお仕事ご一緒しているけど、こんな風に自分の居場所まで来てくれて3人だけで話すなんて滅多にないなあ、と嬉しかったのを覚えています。いただいた脚本を読み、ピアノをぽろぽろと鳴らしながら作曲していきました。最近私は自身を焼き付けるような楽曲を書いてきましたが、この新曲「いきどまり」は自身を歌ったものではなく、歌の中に物語があり、それが一人称で語られる楽曲です。劇場の中で、そして貴方の中で、ぜひこの楽曲を聴いてください。
【堺雅人 コメント】
曲を聴きながら、井川遥さん演じる須藤と過ごしたいろいろなシーンを思い出しました。映画の世界を、月光にも似た淡く優しい光で照らしてくれるような曲ですね。また、「間違いだらけの優しさ」「忘れられぬ呪い」「行き止まりの二人」といった、星野さんが言葉にしてくださったフレーズのおかげで、物語をより理解できた気がします。出演者として本当に嬉しく思います。星野さん、ありがとうございました。
【土井裕泰監督 コメント】
俳優・星野源とはこれまで何度か仕事をしてきたけれど、勿論そのずっと前から、彼の音楽や文章のファンだった。紛れもない現代のPOPSTARでありながら、その表現のベースには常に市井の人の視線や実感があって、だからこそ彼の眼を通して見た世界はとても信用できる。
この平場の男女の物語は彼の眼にはどんな風に映るのだろうか?ある時、そんな興味に急にとらわれて、多忙な彼に台本を届けに行ってしまった。
数か月経って、ツアーが一段落した彼から返ってきたのは、彼の声とピアノだけのシンプルで美しい曲だった。
「切ない、大人の、恋物語」などという惹句ではとても掬いきれない、愚かしくも愛おしい人間の営みへの眼差しがあって、シニカルなのに温かく、諦念の中にささやかな希望を忘れていない。
この曲をもって完結することができる「平場の月」はなんと幸福な映画だろう。星野源の歌う言葉を、どうか劇場で、最後の一音までもらさずに聴いてほしい。
●映画情報
映画『平場の月』
2025年11月14日(金)より公開
©2025映画「平場の月」製作委員会
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