先日LCDサウンドシステムの3rdアルバムを完成させたばかりのジェームズ・マーフィーが、この新作と同時進行で制作していたノア・バームバック監督作品『Greenberg』(3月26日アメリカ公開)のサウンドトラックについて語っている。
LCDサウンドシステムの音楽とは全く異なる70年代ポップ・ソング風の新曲7曲が収められているというサントラ盤は、3月23日のリリース。サウンドトラックであるにもかかわらず各曲にボーカルをつけた理由について、ジェームズはPitchforkに次のように説明している。
「ノアと僕はスコアを作るんじゃなく歌を作ろうと話し合った。スコアってものはあまり好きになれないんだ。はっきりとしたメロディを持った古いスコアは好きだけど、最近のスコアを聴いているとだいたい気が狂いそうになるね。あれは詩の朗読コンテストの音楽版みたいなもんだよ――雰囲気だけの音と現実味のないサラウンド音響のクソさ。だから映画の内容に直接には関係なくても、この映画に彩りを添えるためにレコード棚から選びたくなるような曲を書きまくった」
ベン・スティラー演じる主人公のグリーンバーグは、ロック・スターになりたいという20代の頃の夢が叶わず、ニューヨークからロサンゼルスに移って弟の家で留守番をして暮らす中年男性。ジェームズは人生の岐路に立っているこの主人公の気持ちが分かるという。
「僕は若い頃には喜劇作家になるつもりだったんだけど、その後でバンドに入ったんだ。でもそれがまた最低なバンドで解散しちゃってさ。僕は単なる終わったミュージシャンだった。バンドに入るために大学もやめていたし、入ったバンドはレコードが1枚も売れない最初から終わってるようなバンドだったしね。その後は何にもしてなかった。だから間違ってロサンゼルスに来てしまったような不機嫌なニューヨーカーの気持ちに思いを巡らすのはそんなに難しくなかったな」
ジェームズ・マーフィー、新曲収録のサントラ盤を語る
2010.03.04 22:30