リーマン・ショック以降の景気後退のなかでの企業優遇政策の撤廃や格差の是正を訴えるウォール街占拠運動は全米各都市に波及し、さらにロンドンでもロンドン占拠運動が興っているが、デモ隊が占拠しているロンドンの聖ポール大聖堂の敷地に11月9日にレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロとビリー・ブラッグが訪れ、アコースティック・ライヴを披露した。
現在ザ・ナイトウォッチメンとしてライズ・アゲインストのサポートでイギリスを訪れているトムはレイジの“ゲリラ・ラジオ”を含む3曲のセットを大聖堂に集っているデモ隊に向けて披露したという。
トムはパフォーマンスを始める前に次のように観衆に語りかけた。「この世界を支配し動かしている人たちにはその資格がない。ぼくには彼らに向けたメッセージがあり、それは始まりは近いということだ。歴史はCIAの工作員が麻薬を融通したりすることや、あるいは老人によって作られるわけではないんだ。歴史は人々によって作られるんだ」。
さらにトムはイギリスで2009年のクリスマス週間に1位になると予想されていた『X・ファクター』優勝者のジョー・マックエルデリーのシングル“The Climb”に対抗してフェイスブックでキャンペーンを張ったレイジのファンが“キリング・イン・ザ・ネーム”を大挙してダウンロード購入し、見事その週のチャート1位を奪ったことについて次のように触れた。
「サイモン・カーウェルと『X・ファクター』と金儲け音楽にみんなが中指を突き立ててくれたことに感謝するよ」
その一方でトムの前にパフォーマンスを行ったビリー・ブラッグは“Which Side Are You On?”などのカヴァーや世相を歌った自身の“Scousers Never Buy The Sun”や“Last Flight To Abu Dhabi”など 9曲のセットを届けたという。
“Scousers Never Buy The Sun”でビリーはメディア王ルパート・マードックが所有するザ・サン紙への批判を繰り広げ、さらにマードックが所有し廃刊に追い込まれたニューズ・オブ・ザ・ワールド紙による電話盗聴事件についての調査を続けている労働党首トム・ワトソンへの支持を表明した。
さらにビリーはウォール街で始まった不公平是正を訴える占拠運動が今では世界2500都市へと波及していることについて「すごく勇気づけられる」とデモ隊に語りかけた。「ぼくたちがこうして集っているのは、昔からずっと闘われている要求のためであって、これは今も現在進行形の闘争なんだ。人々が必要としているものはすべて同じであって、世界中のすべての人々が同じものを要求しているんだ。つまり、自分たちの子供たちのために残すよりよい世界をということだね」。
パフォーマンスの後、ビリーはこの日のライヴの様子に深い印象を受けたとNMEに語り、占拠運動のキャンプ地の平和的な性格は抗議運動が暴力的である必要はないことの手本になっていると説明した。
「最初に抗議運動が起きた時にこっちに来るからとみんなに約束して、来てみたわけだけど素晴らしいと思ったよ。この成り行きに本当に深い印象を受けたし、キャンプ地でみんなどうしているのかよく見て回っていきたいよね。デモも素晴らしいし、問題はなにもないからね」
さらにビリーは8月のロンドン暴動が一般人のデモ行為に対する考え方に悪影響を及ぼしたはずだとしながらも、今回のロンドン占拠運動は一般大衆の共感を呼んでいると感じると語っている。
「あの暴動の後、店のウィンドーをぶっ壊すようなことで世の中のことを変えることはできないんだってみんなわかったと思うんだ。でも、ここで起きている平和的なヴァイブを通して人々は過去のことはもう忘れて、ここで発されているメッセージに耳を傾け始めていると思うんだよ」
トムのセットリストは以下のとおり:
'Flesh Shapes The Day'
'Guerilla Radio'
'World Wide Rebel Songs'
ビリーのセットリストは以下のとおり:
'Which Side Are You On?'
'World Turned Upside Down'
'The Internationale'
'NPWA'
'The Battle Of Barking'
'Between The Wars'
'Scousers Never Buy The Sun'
'Last Flight To Abu Dhabi'
'There Is Power In A Union'
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