新作制作を続けているとされているパブリック・イメージ・リミテッド(PiL)のジョン・ライドンは新作をリリースするレーベルを探すのに四苦八苦したとしているが、それも『Xファクター』のような番組のせいだと語っている。
PiLは今年中に新作『This Is PiL』をリリースすると明らかにしているが、現在の音楽業界が表現の領域を広げようとあえて試みるようなアーティストを引き受けようとはしないため、レコード会社を探すのに大変な思いをしたとジョンはNMEに語っている。バンドは今契約までかなり近いところまで来ているが、「ふざけてたり、横暴でない」レーベルがなかなかみつからなくて苦労したとジョンは説明している。
さらに『Xファクター』や『アメリカン・アイドル』のようにほとんどヴァラエティ・ショーと化してしまっている音楽番組の隆盛についてジョンはこう語っている。「どれもくだらないね。しかも、音楽業界そのものがああいう番組に乗っ取られてしまったことが本当に残念だよ。特に『アメリカン・アイドル』とか……毎年自分たち自身をああいうふうに表彰できるだけの神経があるわけだからね。ああいう制度という体制というか」。
「もう今じゃアーティストなんてみんなあの一派出身だろ? まあ、仮にアーティストと呼ぶとしたらの話だけど。残念なことにたまにああいうところから本当にうまい連中が出てきたりもするんだけど、それはそれでやっぱり所詮カラオケだからね」
「なんだか昔、レコード会社がやってたような手法に戻ってるような感じがするよね。っていうか、俺たちがなんでレコード契約にありついてないか知りたいんだったら、『Xファクター』を観ろって話だよ。正直言ってね、音楽の領域をぶち壊して、いいことをやって素晴らしい歌詞を書いてっていうことをやるような人は誰一人としてこういうオーディション番組の第1回戦をも突破できないだろうからね」
昨年のサマーソニックにも参加したPiLだが、これまでジョンはレコーディング費用のために精力的にツアーを重ねることを強いられてきたとも語っている。「誰もが俺はセックス・ピストルズで大儲けしたと思い込んでるんだよな。でも、残念ながらそれは事実じゃないし、俺たちはこのアルバムを作るために2年間びっちりツアーし続けなきゃならなかったんだよ」。
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