インタビュー=つやちゃん 撮影=大野隼男
──前回のインタビューがEP『19』のリリース時で、あれから1年ちょっと経ちましたね。どんな変化がありましたか?アルバムが完成するまでは自分の思考を止めてたというか、逃げたいとか疲れたとかいう気持ちに完全に蓋をしてた。それで、数日前にぶっ壊れた。もう完全にパニックで、着る服も選べなくなって
この1年で少し成長できたかなと思います。以前に比べてはっきりと喋るようになった。自分が作品に対して今までよりも嫌とかこうしたいというのを……なんて言うんだろう。うまく言えないんですけど、強くなったと思う。
──1年前には、自分がそうなると想像してました?
いや、全然思ってなかった(笑)。本当にアルバムができるなんて思ってなかったし。もうリリースされるというので、おぉってなってます。なんか、欲が出てきた。
──それはなぜ?
この2年くらいは右も左もわからない状態で始めて、不安もきっとあったんだろうなって思う。自分が出した答えが正解かわからないっていう不安。でも今回はアルバム制作を通して、これでいいって思えたから。
──それってやっぱり経験してきたことが自信につながったからだと思うんですけど、たとえばこの1年くらいで特に大変だったことや乗り越えたと感じるものってどういうことでしたか?
でも、それって本当にこの数日で気づいたことなんですよ。アルバムが完成して新曲が先行で出るまでは自分の思考を止めてたというか、逃げたいとか疲れたとかいう気持ちに完全に蓋をしていたんです。それで、数日前にぶっ壊れた。もう完全にパニックで、着る服も選べなくなって。制作が終わってからああなってよかったと思うし、鬱とかではないんだけど……爆発ですよね。赤ちゃん返りにも近いのかな。子どもの気持ちに返っちゃって、本当に終わってからでよかったなって。それが来るまでは、意外と乗り越えられたんだなって思ってたんですけど。
──アルバムが完成して、ようやく少し気持ちに余裕ができたからこそ、そうなったのかもしれないですね。
安心したからそうなったんだと思う。でもそこは大人になったところで、前はいきなり爆発しちゃってたんですけど。アルバムが大変だったっていうのもあるし、曲作り以外にも本当に忙しい毎日を過ごしてたし。
──『20』は初のアルバムですけど、これまでのEPとは違ってフルアルバムという形にしたのはなぜでしょう。やっぱり20歳という区切り?
そう、20歳になるまでの自分を一度まとめる意味で、アルバムにしました。でも新しい曲は2ヶ月くらいで作ったので、マジで直近の曲です。
──今回アルバムに入っている新曲を聴いて、結構ダークでびっくりして。何かにまとめられるのが嫌なんだって思った。ラッパーって言われるのは嫌だし、ラッパーじゃないって言われるのもなんかハマってる感じがしないし
そうなんですよ! 数日前に気づいたんだけど、相当食らってたんだなって。すごくいろんなことがあって……誰かにムカつくこともあったし何かにイラつくこともあって、自分にも怒ったりとかもしたし……もう全部に対して(笑)。
──たとえば、自分に怒るというのはどういうポイントなんですか?
いろんな経験をしたからこそ1年で何歳も年をとっているような感じがあって、その分ちゃんとしなくちゃいけないんだけど、とはいえまだ19歳とか20歳だし。まだまだ遊びたい年齢だし。もっといい曲にできたんじゃないか、追求できたんじゃないかって後悔もあって。インプットが増えたからこそ思うわけですけどね。
──でも新曲の “For Life”や“2021”とかは、ここまでどろどろしたものを出していいのかなって躊躇はなかったですか?
あったんですけど、でもこれを出してもし誰かが離れるのであれば、それまでだなと思うようにもなった。自分が成長したことで表現も変わって、それを隠さず出したかったというのもあるし。挑戦的なことも言ってるし、今までだったらピースに終わってた曲も今回はそうじゃなかったり。1曲目の“Street Princess”とかはいいバランスでそれが出てるかな。ま、そんなネガティブなことばかり言うアーティストでいたいわけでもないし。
──あと、覚悟が決まった。“For Life”の歌詞はそう感じました。
(大きくうなずいて)そうみたいですね。私も、書き終わってから見たら、そうなんだなって感じました。いつまでにこうなるんだって言い切ってる感じがする。末っ子ちゃんキャラでニコニコヘラヘラしてたのがいろんな経験をして変わってきて、それだけじゃ嫌だなって思うようになった。
──確かに、コアなリスナーはいろんなLANAを知ってるだろうけど、パブリックイメージとしては「明るく元気なLANAちゃん」っていうイメージはありますよね。そこに対するギャップやジレンマというのも少し感じていたということ?
うん。LANAのことを途中から好きになってくれたファンの人は、このアルバムを聴いたらびっくりするんじゃないかな。ダークになったというよりは、こういうLANAもあるんだなって聴いてみてほしい。あと、LANAがラッパーなのかラッパーじゃないのか論争っていうのがあって、ずっとそこには触れてなかったんですけど。でも今年の『POP YOURS』で、ラッパーではないけど私はヒップホップをやってるんだって言ったんですね。でも、言い切ったものの、そうなってくると今度はラップをしたくなってきちゃって。
──なるほど(笑)。
そう。だから今回のアルバムでは結構ラップしてるんですよ。何かにまとめられるのが嫌なんだって思った。ラッパーって言われるのは嫌だし、ラッパーじゃないって言われるのもなんかハマってる感じがしないし。自分で言ったくせに、言ったあとからラップ書いてみたいって……(笑)。