ミック・ジャガー、自身のダンスの起源を語る

ミック・ジャガー、自身のダンスの起源を語る

活動50周年記念ライヴもいよいよ15日の公演を残すのみとなったザ・ローリング・ストーンズだが、ミック・ジャガーの弟で自身も音楽活動を続けているクリス・ジャガーは、ミックのダンスの素養と変遷を『ローリング・ストーン』誌で解説している。

クリスがミックから聞き取ってきた話によれば、ミックにとって最初のダンスへの手ほどきとなったのは、母親にラジオのワルツ教室放送にあわせてワルツを教えてもらった時のことだと語っている。しかし、自分には向いていないと自覚したミックはその後、地元のユース・クラブで開かれるスクエア・ダンス(日本でいうところのフォークダンス)大会などに参加して、こっちの方がもっと楽しいと気づいたとか。

また、英米の学校では年に一度学校のダンス・パーティが開催されることが多く、意中の女子を誘って参加するのが慣わしとなっているのだが、これがミックにはうんざりするイヴェントだったという。それというのも、地元の学校の女子を口説いては誘ってこなければならず、「『もう予定が入ってるの』と軽くあしらわれるのを承知で赤面しては次を当たらなきゃならなかったからね。ユース・クラブでのフォークダンスの方がよっぽど楽しかったよ」とミックは説明している。

ダンスの文脈で一線を画す盛り上がりとなったのはジャイヴの流行で「ジャイヴはダンスホールとかでも禁止されてたんだよね」と解説する。「実際には戦前からあるスタイルだったんだけど、禁止になっててね。品がないということだったんだけど、当然、ほかの踊りより全然楽しくて、しかもリトル・リチャードとか、そういう音にもちゃんと合わせて踊れるステップだったんだよ」

その後、チャールストン、ブラック・ボトムなどの流行があり、最大のブームとなったがチャチャチャだったとミックは語っている。「当時は大ブームになってね。そもそもラテン・ミュージックが大流行してたんだよ」とミックは説明する。「でも、一番の革命となったのはツイストで、これは初めて踊り手がひとりだけで踊るステップだったんだよ。これはソロでやるステップで、現代のダンスの先駆的な形となったんだよ」。

その後、肘を振るわせジャンプを入れるステップで、エリック・クラプトンが得意だったというバニー・ステップやザ・モンキー、ザ・チキン、ハンド・ジャイヴなどのステップの隆盛があったが、ミックはそれ以外にもロンドンのサヴィル・ロウ近辺にあったスカ・クラブにもよく出入りしていたという。「西インド(カリブ)系の移民はみんなまるで違う身体の動きをしていたからで、その頃からバンドと一緒にステージでやり始めていたパフォーマンスにもそういう要素を少しずつ取り入れていったんだ」

「それからアメリカに行くことになってニューヨークのアポロ劇場でジェイムス・ブラウンを観て、これはすさまじい影響になったよね。その身体の動きだけでなく、そこに注ぐエネルギーがもう驚異的だったんだ」

「ドラムと足踏みというのは古来何万年と続いてやられてきていることだよ。ドラムとダンス、このふたつはリズムの解釈であって、ダンサーとドラマーの表現というのは人間の魂の最も先駆的で原初的な表現の形なんだよ。ジェイムス・ブラウンは完全にそこを理解していたんだ。だから、ジェイムス・ブラウンと彼のドラマーはいつでも完全にシンクロしてたんだよ。観ればそれは明らかだったからね。その最も豊かな形としては、アフリカ舞踊やインド舞踊に見てとることができるんだ。ぼくだってチャーリー・ワッツとぴったり合ってなきゃならないし、それはチャーリーもよくわかってるはずだよ」
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