プッシー・ライオットが昨年行った教会パフォーマンスの動画がロシアで公開禁止に

プッシー・ライオットが昨年行った教会パフォーマンスの動画がロシアで公開禁止に

ロシアのプッシー・ライオットが昨年教会で行ったパフォーマンスの動画がロシアでは公開禁止の判決を受けることになった。

プッシー・ライオットは昨年2月に現プーチン大統領政権への反対デモをパンク・ロック・ライヴとして断行し、ロシア正教会のプーチン支持への抗議としてモスクワのキリスト救世教会で即興ライヴを行って逮捕された。逮捕されたのはバンドのうちのエカテリーナ(カーチャ)・サムチェヴィッチ、マリア(マーシャ)・アレキナとナデズダ(ナージャ)・トロコニコヴァの3人で、8月に宗教的憎悪による騒乱罪として2年の禁固刑という実刑判決を受けたが、その後バンドは判決に対して控訴を起こし、10月にカーチャだけが無罪放免となっている。

その後、カーチャはこの時のパフォーマンス動画がロシアで公開禁止扱いを受けたのに対して控訴を起こしていたが、モスクワ市法廷は控訴を棄却し、この動画を公開禁止としてインターネット・プロバイダ業者に動画のブロックを命じている。

今回適用されたのは過激派対策法で、元々はネオナチやテロリストなどのプロパガンダを抑え込むために成立した法律だが、現実にはアメリカのアニメ『サウスパーク』やサイエントロジスト関連の動画などもこの法律によって公開禁止に追い込まれている。今回の判決によって、バンドのパフォーマンス動画をブロックしなかった業者には3千ドル相当(約27万円)の罰金が処されるという。

今回訴えが棄却されたカーチャは、これは検閲に当たるとしていて、今後も法的な対抗措置を取るつもりだと明らかにしている。

その一方で、マーシャは自身の判決について起こしていた控訴が1月16日に棄却されていたことが明らかになっている。マーシャは自身には5歳の息子を養育する必要があるため、刑が猶予されるべきだと訴えていたが、ベレズニキ市法廷は先の判決はそれを踏まえてのものだったとマーシャの訴えを斥けた。

なお、プッシー・ライオットの今回のパフォーマンスをめぐるドキュメンタリー映画『Pussy Riot: A Punk Prayer』は今年のサンダンス映画祭で審査員特別賞に輝いている。

映画はマキシム・ポズドロヴォキンとドキュメンタリー監督のマイク・ラーナーの共同演出によるもので、今回の事件の公判の模様とメンバーの親族や友人、そして弁護士らの証言を紹介し、ロシアにおける父権社会の特徴や裁判制度にメスを入れつつ、メンバーそれぞれの生い立ちも検証していくものになっている。

(c) NME.COM / IPC Media 2012
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