ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンらのジャケットを手掛けたストーム・トーガソンが逝去。享年69歳

ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンらのジャケットを手掛けたストーム・トーガソンが逝去。享年69歳

ピンク・フロイドの1973年の傑作『狂気』のデザインなどを手掛けたストーム・トーガーソンが69歳で息を引き取ったことが明らかになっている。

故人の死について、遺族は「とても安らかに眠りました」と声明で発表している。「家族と友人らに見守られての最期となりました。2003年には卒中で倒れて、めざましい回復をみせましたが、ここのところはがんとの闘病が続いていました」

トーガーソンはピンク・フロイドとの長い親交で知られていて、『狂気』のほか『炎~あなたがここにいてほしい』、『アニマルズ』などの代表作のジャケットのデザインを手掛けていて、他にもレッド・ツェッペリン、ミューズ、ジェネシス、フィッシュらの作品も手がけてきた。ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアは次のようにトーガソンを偲んでいる。

「初めて会ったのは10代の早い時期だったね。シープス・グリーンというケンブリッジの店でたむろしてはストームが一番うるさかったんだよ、夢とか情熱を語ってね。あの頃から何も変わってないよ。ぼくにとっては生活面でも仕事でもずっと助けになってくれた存在だし、相談にも乗ってもらって本当に友達としてよくしてもらったよ。1968年から現在に至るまで、ストームが作ってくれたピンク・フロイドのアートワークはバンドとは切っても切り離せないものになってるんだよ」

元々、映画監督志望だったストームは15歳からアートに専念し、デイヴのほか、ロジャー・ウォーターズ、シド・バレットとは学校時代からの友人で、その後も固い絆でバンドとは結ばれていたという。様々なアーティストのジャケットを手がけることで有名なデザイン・グループ、ヒプノシスをオーブリー・パウウェルと1967年に設立し、事務所の最初の仕事となったのが68年のピンク・フロイドの『神秘』のジャケットだった。このアルバムの成功によってEMIの契約アーティストの仕事を頻繁に請け負うようになったが、その後『狂気』の大ヒットによって、レッド・ツェッペリン、ジェネシス、ピーター・ガブリエル、ブラック・サバス、イエスらの作品も手がけるようになった。1983年にヒプノシスは解散するが、ストームはアルバム・ジャケットのデザインの仕事を続け、ミューズ、フィッシュ、ザ・クランベリーズ、ビッフィ・クライロ、アンスラックス、メガデスらの作品を請け負った。

代表作ともいえる『狂気』についてストームは次のように『ローリング・ストーン』誌に語っている。

「あれは照明のショーに触発されたものだったんだよね。あともうひとつ重要だったのはあの三角形だったんだけど。三角形は思考と野心の象徴で、これはロジャーの歌詞を形にしたようなものだったんだ。だから、三角形はすごくモチーフとして重宝したし、それをプリズムに移し替えたわけなんだけど、あのプリズムはバンドのものだったんだよ」

ストームはピンク・フロイドの近年のライヴ盤やコンピ盤、ボックス・セットなどのデザインもすべて手掛けていた。
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