アーケイド・ファイアのウィン、新作のグラフィティ・キャンペーンへの批判に謝罪

アーケイド・ファイアのウィン、新作のグラフィティ・キャンペーンへの批判に謝罪

10月29日に新作『Reflektor』がリリースされるアーケイド・ファイアのウィン・バトラーは、新作のキャンペーンで行われている『Reflektor』のロゴのグラフィティ宣伝が一部で批判に遭い、これへの反省の念を述べている。

このキャンペーンでは正方形と円を組み合わせた図形の中に「REFLEKTOR」の文字を配置した図案をスプレー・ペイントで世界中の都市の街頭にグラフィティとして落書きしていくものになっているが、時事問題やカルチャーを扱うサイト、スレイトにライターのイアン・ディールがこのキャンペーンを批判する記事を掲載した。

記事でディールは自身の妻が働くテキサス州オースティンにあるフレーム工房の壁に突如、このグラフィティが描き殴られたことを説明している。グラフィティとしてもイマイチだったのを目をつむっていたところ、ある日このグラフィティの上にさらに同じ図案を使った、アーケイド・ファイアの『Reflektor』の発売を宣伝するポスターも貼りまくられ、グラフィティも宣伝キャンペーンの一部であったことを知ったという。結局、その落書きはグラフィティでもなんでもなく、ただのキャンペーンだったと知ると「利用された気分になり」、失望感を感じたと綴っている。

「ぼくがこう言うのは、なにも妻の雇い主が何時間もかけてポスターを剥がして、接着剤を壁から洗い落とさなければならなかったからではないのです。アーケイド・ファイアがメインストリームでの成功を手中するとともに、インディー・アーティストとしての魅力も損なわれないようにかなり腐心してきたのも確かです。業界のスターと一緒にステージを分かちながら、グラミー賞の最優秀作品賞を受賞しつつ、サブカルチャー精神を失わないようにするにはどうすればいいのか。これまで多くのバンドがこの命題に取り組んできたし、アーケイド・ファイアは相当そういう意味では頑張ってきたと思います」

「しかし、今回のバンドによる落書きという公共物損壊、あるいは『ゲリラ・マーケティング』とでも呼べばいいのでしょうか、これはこれまでバンドがやってきたこととは対照的にかなり幼稚な感じがしますし、少なくとも社会的に無責任な印象が残るのは否めません」

この記事に対応してウィンは手書きの謝罪文をディールに送っていて、その中でロゴのグラフィティはもともと水溶性のペンキで描かれるはずだったのがどこかで取り違われてしまったようだと釈明し、ディールとディールの妻への謝罪を述べている。そして次のようにキャンペーンの意図を説明した。

「今回のキャンペーンはハイチのヴィーヴ(ヴードゥー教で使われる図案)のような図案を狙っていて、これはもともとはチョークで描かれるか、砂地に描かれるもので、これを反映するものになるはずだったのです。なにか大がかりなことをやり始めてしまうと、時々、こうしたディテールをしっかりコントロールすることが難しくなってしまうこともあるのです」

なお、新作『Reflektor』についてウィンは「スタジオ54(70年代を象徴するニューヨークのディスコ)とハイチのヴードゥーのマッシュ・アップのような作品なんだ」と先頃語っている。
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