ワン・ダイレクションの熱狂的ファンを娘に持つ母親、その日常をレポート
2013.09.26 20:45
現在オーストラリアをツアー中のワン・ダイレクションだが、ワン・ダイレクションのファンを娘として抱える母親が、そんな娘たちを応援する日常についてのレポートを『ザ・ガーディアン』紙に寄せている。
この母親が初めてワン・ダイレクションを意識したのは2011年にヴェネツィアに滞在していた時で、きっかけはその時12歳だった娘が自分のノート・パソコンでワン・ダイレクションがミラノに来ることを調べ上げ、真っ青になりながら「どうしてもミラノに行きたい」とせがんできたからだったとか。しかし、翌日オーストラリアに帰国する予定になっていたので無理だと娘に答えると「今行かないとダメなの! 電車を使えばいいじゃない? みんなはミラノにいて、たった269.5キロしか離れてないんだから!」と娘が食らいついてきたという。そして、母親は、なるほど今時はソーシャル・メディアさえ使えばパブリシティは事足りるのだと知って感心し、しかも、リアム・ペインがロンドンの自宅を出ればたちまちにしてブエノスアイレス、アデレード、アジスアベバと世界中のファンの知るところになることを知らされたという。
娘や他のファンの女子たちの行動は、メンバーの誕生日にはオフ会を開いて祝ったり海へ出かけたり、ルイ・トムリンソンがキャロット・ケーキが好きな女の子が趣味だというのでキャロット・ケーキをたしなんだり、リアムがスプーン嫌いだというので食事でもスプーンは使わず、メンバー全員がカヴァーオールのスウェットが好きなので夏の猛暑の中でもカヴァーオールのスウェットを着て過ごすなどというもので、お泊りで女の子たちが自宅に集合した際にはハリー・スタイルズが猫好きだというので全員で飼い猫をいじりたおして、猫の方が恐怖のあまり外の植え込みの木の上に逃げてしばらく降りて来なかったという。いずれにしても、自分が同じ年頃だった時には親の目を盗んでメンソール煙草を吸ってはワイン・リキュールで酩酊するようなことばかりしていたので、母親としてはアイドル・バンドに熱中するのは大いに結構と娘のファンぶりを応援することにしたという。
それにファン活動を通して娘は交通手段の手配、地図の見方、宿泊の問い合わせなどがプロ並みに出来るようにもなり、メディアを通して世界中のファンの女の子たちと交信するという社会性も身に着けるという利点もあったと、この母親は解説している。ただ、本当の騒動を母親はワン・ダイレクションのオーストラリア訪問で味わうことになったとか。
ワン・ダイレクションは昨年の4月にオーストラリア・ツアーを行っていて、この時の経緯を振り返っているが、そもそも一家が住んでいるシドニー公演はホーダーン・パヴィリオンという小さ目の会場で行われ、チケットの予約の段階でオンライン予約がクラッシュするのではないかと危惧して、チケット会社の玄関前で娘一行は徹夜を敢行。その後、バンドが4月にシドニーに到着すると、シドニーの街中に大勢の女子のグループがたむろしては溢れることになり、アメリカ・ツアーでインターコンティネンタル・グループのホテルを使っていたことを調べ上げていた大勢のファンは見事にシドニーのインターコンチを包囲する形で集結したという。しかし、アメリカやイギリスで見られたようなファンとの交歓はシドニーでは行われる様子がなく、娘たちが気の毒になった母親は娘たちを連れてインターコンチの出口付近の路肩に車を駐車して車の出待ちを決行することにしたという。
そして、それと思しきワゴン車が駐車場を出ると、母親はすかさずこのワゴン車の追跡を開始。途端に全速力のカー・チェイスとなり、黒のワゴン車をパパラッチ車と自分たち、悲鳴を上げる女子たちを乗せた初心者マークのマツダ車、さらに頭上ではヘリコプターが追走することになった。ワゴン車にはいったん巻かれそうになったが、サーフィン・スポットとして有名なシドニー近郊のフレッシュウォーターで再発見し、娘たち一行はリアムとルイのサーフィン姿を堪能することができたという。これだけでも娘たちはほとんど錯乱状態に入っていたというが、しかし、ハリーを探し出すという使命も残されていたため、その後、ホーダーン・パヴィリオンでのサウンドチェックでの出待ちに出かけることにしたという。
そして、その日の真夜中少し前に、5人全員が会場から姿を現わし、めでたくアルバムへのサインやファンとメンバーとの写真撮影に応じたという。娘たちは全員腰を抜かしそうな様子で、なかには幽体離脱を経験したと言い出す子もいたとか。
レポートのなかで母親は娘たちのようなキッズは確かにいいようにカモにされていると断りながらも、そもそもワン・ダイレクションがこれほどの人気になったのは世界各地の女の子たちのネットワークがあったからこそで、女の子たちの気分次第ではワン・ダイレクションもまた明日をも知れぬ身なのだというところまで娘たちのメディアの習熟度は進んでいると締め括っている。