フジロック・フェスティヴァルでのヘッドライナー公演を皮切りに世界各地のフェスティヴァルを巡り、その後、精力的な北アメリカ・ツアーを続けていたナイン・インチ・ネイルズが、今回のツアーの舞台裏を追ったオフィシャル動画の第2弾を公開している。
今回のステージは特に照明を巧みに使ったヴィジュアルも大きな評判となっているが、動画の中でスタッフはすべての装置が吊るされている仕掛けになっていて、本番中一度も上下に移動しない場所や装置は一つもなく、かなり手の込んだステージになっていることを明かしている。動画で紹介される初期の準備段階でトレントは次のように心境を語っている。
「いや、ずっと気が張った状態で、というのは、当初はみっちりリハーサルを重ねたバンドと一緒に新曲を一つか二つ披露して、演奏の内容だけに専念すればいいと思っていたんだけど、ある時点でバンドにもっとメンバーを加えることにしたんだよ」
このメンバーというのがピノ・パラディーノで、ツアーが企画された当初は過去の楽曲を主体にすることになっていたのを開始直前に根本的に方針をあらためていたことをトレントはこの動画で明かしている。
ベスト・ヒット的な内容では誠実なライヴになりえないと感じたトレントは、ツアーの準備と同時に制作を進めていた最新作『ヘジテイション・マークス』の作業の一部に参加していたピノ・パラディーノの参加を急遽要請し、新作のサウンドを軸に据えた内容のライヴへとアプローチを変えていったという。ツアー開始前に伝えられた元ジェーンズ・アディクションのエリック・エイヴァリーの脱退劇などもこうした事情が関連していたとも考えられる。
また、バック・コーラス隊なども初めて導入するなど演奏の体制にテコ入れすると同時に、ステージのプレゼンテーションも直前で抜本的にあらためたとトレントは明かしている。ツアーの準備の初期段階で用意していたステージは、トレントとしてはこれまでのアリーナ・ツアーで提示してきたものほぼ変わらないものだと感じたからだそうで、今回のステージの設計を任されていたロブ・シェリダンも土壇場で突然「過去にやったことのあることは全部いったん捨てよう」と提案されたという。
トレントはその際、「全部再発明していくっていう気持ちに自分たちを追いこんでみようよとみんなに伝えたんだよ」と説明している。
「居心地の悪い状況を作って、そこからなにかかっこよくて新しいものを生み出してみようって提案したんだよ。ただ、それと同時について回ってくるのが新しいセットを作り出していく大きな不安だったわけだから、自分で自分をハメたようなもんだよね」
土壇場での急変にロブ・シェリダンは「ナイン・インチ・ネイルズほどキャリアの長いアーティストになると、ノスタルジア・バンドに成り果てるというのが最悪のシナリオだから」当然だったと振り返っていて、トレントも次のように動画で語っている。
「俺が今も活動をやってられるのは、いろんなものの先端に走ろうとするエッジを保ってきたからで、当初このツアーのために用意していたアイディアは腰が引けたものだったから、変えなきゃならなかったんだ」
バンドは3月のタイ公演から世界ツアーを再開し、タイの後にはオーストラリアと南米に向かう予定になっている。
ドキュメンタリー動画はこちらから。
